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本日は一次相続・二次相続について解説します。一般的に二次相続の際はトラブルが起きやすいと言われています。なぜトラブルが起きやすいか説明します。
<一次相続・二次相続とは>
一次相続:親からの相続で、夫婦どちらか一人目の相続のこと。 二次相続:夫婦のもうひとりも亡くなったときの相続のこと。 |
<一次相続の特徴>
一次相続は配偶者の税額軽減が利用できるため、配偶者である親が多く相続した場合は、納税額が少なくなります。また、親が仲裁に入ったりすることもできるため争いは起きにくいという特徴があります。
●配偶者軽減
配偶者の取得した財産が法定相続分又は1億6000万円のどちらか多い方までなら、配偶者には相続税がかからない制度です。
→ゼロから始める相続税入門(14)相続税の計算方法(相続税総額と各人の納税額の算定)
<二次相続の特徴>
●基礎控除が減る・税率があがる
二次相続になると一次相続より法定相続人が1名分減るため控除額が1,000万円(平成27年1月よりは600万円)減ってしまいます。また、相続税は、法定相続人が法定相続分で取得したものとした金額に超過累進税率をそれぞれに乗じて計算し、それを合算して算出するため、法定相続人が減ると税率もあがります。
●配偶者軽減が使えない
一次相続のように1億6000万円までの配偶者軽減が使えないため、税負担が重くなるケースが多いです。
●親の仲裁がないため兄弟姉妹間で揉めることも
一次相続では、親が子を気遣ったり、親が仲裁に入ったりしますが、二次相続はそうした仲裁役がいないため兄弟間であっても争いが起きやすくなります。なかでも、分割の際に、自宅などの不動産をどのように分けるかはとても難しいです。共有名義にすると、その次の相続で相続人が増えて収集がつかなくなったりと争いのもとにもなります。
<二次相続まで含めた税額を考える>
一次相続での分割方法によって、二次相続を含めた納税額全体が大きく変わりますので、一次相続の段階で二次相続まで考慮した分割を考えることが大切です。そのためには、遺言書や納税資金の準備などの対策が重要です。
●計算例
<前提条件> 時期:平成26年 相続人:母、長男、次男 課税遺産総額:2億円 基礎控除:一次相続 8,000万円 二次相続 7,000万円 ※長男と次男の相続割合は同じ ①配偶者がすべて取得パターン
②配偶者が税額軽減の上限まで取得
相続税の計算式
③法定相続分で分割
相続税の計算式
|
■相続税額の速算表
法定相続分で按分したら、各人ごとのに相続税額の速算表をもとに相続税額を算定します。各人ごとの税額の合計額が相続税額の総額になります。
■現行
課税価格 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
な し |
1,000万円超3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
3,000万円超5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
5,000万円超1億円以下 |
30% |
700万円 |
1億円超3億円以下 |
40% |
1,700万円 |
3億円超 |
50% |
4,700万円 |
■改正(平成27年1月1日以降)
課税価格 |
税率 |
控除額 |
1,000万円以下 |
10% |
な し |
1,000万円超3,000万円以下 |
15% |
50万円 |
3,000万円超5,000万円以下 |
20% |
200万円 |
5,000万円超1億円以下 |
30% |
700万円 |
1億円超2億円以下 |
40% |
1,700万円 |
2億円超3億円以下 |
45% |
2,700万円 |
3億円超6億円以下 |
50% |
4,200万円 |
6億円超 |
55% |
7,200万円 |
気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
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