~前回~ゼロから始める相続税入門(15)相続○○士・カウンセラーなどの相続と名がつく民間資格
本日はもしかしたら耳にしたことがあるかもしれません『小規模宅地の特例』という制度について解説させて頂きます。この制度が使えた場合は、税額がかなり低減されます。
<小規模宅地とは>
都心であれば、わずかな土地であっても数千万円、数億円という評価がついてしまい、相続税によって居住用の土地や事業用地を手放さなければならないということが起こってします。
そこで居住用宅地や事業用宅地、または貸付用宅地については、一定の要件のもと、一定の面積まで、一定の割合まで評価の減額ができることが認められています。
<小規模宅地が適用される人>
相続した時に、小規模宅地の評価減が適用される人は以下です。
①被相続人の配偶者
②被相続人と同居していた親族
→相続税の申告期限まで居住し、かつ、その宅地を所有している必要があります。
■2世帯住宅の場合は?
被相続人の居住用として利用されていた1棟の2世帯住宅で、構造上区分されているものについては、被相続人の親族が被相続人と同居していたものとみなして、その親族の居住部分に対応する宅地等が特例の対象となる宅地等の範囲に追加さます。したがって、内階段で行き来できない構造の2世帯住宅で、2世帯同居している息子がこの宅地等を取得した場合についても、1階、2階に対応する敷地全体が小規模宅地等の評価減の特例の適用対象となります。
■被相続人が老人ホームに入所している場合は
一方老人ホームに入所したことによって被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地の用に供されていた宅地等は、相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものとして特例を適用することになります。適用を受けるための条件は以下の2つです。
①相続人に介護が必要なため入所したものであること
②その家屋が貸付け等の用途に供されていないこと
<詳細>
・ゼロから始める相続税入門(18)小規模宅地の特例とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
・有料老人ホーム入門(20)(有料老人ホームと相続問題~入居一時金・小規模宅地~)
<小規模宅地の特例が受けられる土地の条件>
小規模宅地の特例を受けられる土地の条件は以下の通りです。
①被相続人または国の事業用宅地、居住用宅地であること(事業用に「不動産貸付業」を含む)
②建物、構築物が建てられている土地であること
<小規模宅地等の種類と減額の割合>
小規模宅地等は、特定居住用宅地、特定事業用宅地、特定同族会社事業用宅地、貸付事業用宅地の4つに分けられます。評価減の対象となる面積と減額割合は以下の通りです。
小規模宅地 |
相続する人 |
面積 |
減額率 |
|
居住用宅地 |
特定居住用宅地 (自宅の土地) |
・配偶者、同居親族 |
※240㎡ |
80% |
事業用宅地 |
特定事業用宅地 (商店・会社・工場等) |
・親族 (申告期限まで保有、事業引き継ぎ) |
400㎡ |
80% |
不動産貸付業の事業用宅地 |
特定同族会社事業用宅地 (アパート・駐車場) |
・役員の親族 (申告期限まで保有、事業引き継ぎ) |
400㎡ |
80% |
その他の貸付業事業用宅地 (アパート・駐車場) |
・親族 (申告期限まで保有、事業引き継ぎ) |
200㎡ |
50% |
※平成27年1月1日以後に開始する相続から、特定居住用宅地等にかかる特例の適用対象面積が現行の240㎡から330㎡まで拡充されます。
<留意事項>
小規模宅地等の特例を受けるためには、相続税の申告期限までにその宅地の遺産分割を済ませておかなければなりません。また、特例の適用を受けるためには、相続税の納付税額がない場合でも必ず申告書を提出しなければなりません。
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
次回はゼロから始める相続税入門(17)相続税の納付と延納・物納です。
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