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遺言入門④(遺言の種類・方式)

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~前回~遺言入門③(遺言とはどのようなものか)

前回は、遺言は書面でなくてはならず、さらに厳格な方式があると解説しました。本日はその方式について解説します。

<遺言の一般的な3つの方式>
法律は遺言について、厳格な方式を定めていますが、遺言しやすいような配慮として普通の場合として3つの方式を定めています。

①公正証書による遺言
②自筆証書による遺言
③秘密証書による遺言

①公正証書による遺言
公正証書による遺言は、遺言者が公証人に対して遺言の趣旨を説明し(筆談,手話通訳も可)、これを証人2名の立会のもとで公証人が公正証書にします。場所は公証役場で作成するのが原則です。ただし、本人が寝たきりや入院で出向くのが困難な場合は公証人が自宅や病院に出張も可能です(出張費用がかかります)。
公正証書による遺言の場合は、手数料の費用がかかりますが、方式や内容の不備という問題はなく、遺言書の原本(現物)は公証役場で保管されるため破棄・変造のおそれはありません。また、下記2つ(自筆証書遺言、秘密証書遺言)の方式の場合に必要な家庭裁判所での検認手続も不要です。

②自筆証書による遺言
自筆証書による遺言は、遺言者が書面に遺言内容・日付・氏名の全文を自署して捺印します。ワープロ・パソコンで作成し、プリントアウトしたものは無効となります。
自筆証書遺言は自分一人で作成でき,費用もかからず簡便ですが,作成の仕方を間違えるとせっかく作っても効力が否定されることがあります。また、長期間の保管に不安があるうえ、破棄隠匿の可能性があります。さらには、遺言者が亡くなって遺言書が発見されたとしても家庭裁判所における「検認」の手続が必要です。勝手に開封したり、検認の手続を怠ると過料の制裁を受けます。修正したい場合はその部分の上部欄外などに加入・削除した字数を記載して押印します。相続させたり、遺贈したりする相手方や財産は明確に他と区別できるように記載する必要がありますし、夫婦で1通の共同遺言書を作ることはできません。

③秘密証書による遺言
秘密証書による遺言は、遺言者が作成して署名押印した遺言書(この場合はワープロなどで作成可能)を封筒に入れて封印し、証人2名の立会のもとで公証人に対して自己の遺言書である旨を述べ、公証人がその旨を封書に記載したうえ証人らとともに署名押印し、封書を本人に返還します。遺言の内容を人に知られることはなく、費用も安くすみます。しかし内容に無効な点があってもチェックできず、遺言書入りの封書は自分で保管しなければならず、また、家庭裁判所での検認手続が必要です。

●3つ方式の比較表
種類①公正証書遺言②自筆証書遺言③秘密証書遺言
作成方法公証役場に行き、本人が口述し公証人が筆記。本人が遺言の全文・日付・署名等を自筆し押印。本人が遺言書に署名押印後、遺言書に同じ印で封印。公証人の前で、本人の遺言である旨を申述。
書く人公証人本人(自筆→ワープロ等×)自筆でなくても良い
作成場所公証役場どこでも可公証役場
証人2人以上不要2人以上
検印不要必要必要
メリット・紛失、偽造等の恐れがない
・検印が不要
・費用がかからない
・証人不要
・内容を秘密にできる
・ワープロ、代筆可
・存在を明確にし、内容を秘密にできる
デメリット・費用がかかる
・内容を秘密に出来ない
・方式の不備で無効の恐れがある
・紛失、偽造等の恐れがある
・手続きが煩雑


<遺言の特別な方式>
上記の3つの他に、特別な場合の方式として以下の4つものを定めています。特別な場合とは、緊急の場合にのみ許されている遺言方式であり、その危機を乗り切って、一般の方式で遺言ができるようになってから6ヶ月経過すると、この特別な場合の方式の遺言の効力がなくなるのでご留意ください。
①死亡が危急に迫った者の臨終遺言
②伝染病で隔離させた者の遺言
③船舶中にいる者の遺言
④遭難船舶中にいる者の臨終遺言

<まとめ>
最も多く利用されている方法は、公正証書遺言と自筆証書遺言です。なかでも、公正証書遺言は、費用はかかりますが、方式や内容の不備という問題はなく、遺言書の原本(現物)は公証役場で保管されるため破棄・変造のおそれがなく、最も確実な方法です。

<用語解説>
・公証役場
公証役場(公証人役場ともいう)とは、公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う官公庁です。各法務局が所管し、公証人が執務します。全国に約300箇所あります。
・公証人
公証人とは、ある事実の存在、もしくは契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者のことです。公証人は、実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員です。
・公正証書
公正証書は、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。公文書ですから高い証明力があるうえ、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。
・検認
検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。


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(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)

次回は遺言入門⑤(公正証書遺言の作り方)です。

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