
■ 介護×医療
介護と医療というのは、切っても切り離せないものです。介護度が上がると、必要な医療行為が増えてきます。現在の状況のみならず、持病や既往歴からもご入居者様に合った住宅や施設を検討する必要があります。その際に、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームの看護士の有無、対応時間、提携医療機関、緊急時対応等をしっかり押さえる必要があります。
■ 検討をすべき主な医療行為
■ 在宅酸素
病状は安定しているが、体の中に十分酸素を取り込めない患者に対して、長期にわたり自宅に酸素供給機を設置し酸素吸入をする治療です。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でも有料老人ホームでも対応可能な所はあります。
■ 夜間たん吸引
口腔内、のど、鼻腔、気管、気管支などに溜まっている分泌物を、吸引器などを利用して体外に出すことです。平成24年から一定の条件のもとで介護職員も実施できるようになりました。
一定の条件のもと介護職員でも実施できるようになりましたが、まだ少ないです。ですので、基本的に24時間看護士がいる施設での対応のため、対応施設は少ないです。
■ 気管切開
気管とその上部の皮膚を切開してその部分から気管にカニューレを挿入する気道確保方法です。
看護師が24時間常駐しており、医療機関との連携が密にとれている等の条件を満たさなければならないため、対応可能施設は非常に少ないです。
■ 尿バルーンカテーテル
病気や障がいで自然排尿ができない場合に、ゴムかシリコン製のカテーテル(管)を尿道から膀胱に挿入して尿を排出させる管のことです。この管を挿入したまま留置する場合、管の先端が風船状に膨らんで、固定されて抜けないようになっています。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)でも有料老人ホームでも対応可能な所はあります。
■ ストマ(人工肛門)
消化管や尿路の疾患などにより、腹部に便又は尿を排泄するために増設された排泄口です。
皮膚の清拭やケア、排泄物の処理等をおこなうことが必要です。これらをご自分でできれば、施設入所にはあまり支障はありませんが、できない場合は施設によって入居できる、できないが異なってきます。
■ 胃ろう
腹壁を切開して胃内に管を通し、食物や水分や医薬品を流入させ投与するための処置。
看護師を配置し、胃ろうが対応可能な施設は比較的多いです。
■ 経鼻経管栄養法
経口摂取が不可能あるいは不十分な患者に対し、体外から消化管内に通したチューブを用いて流動食を投与する処置です。
口から食べられない状態が長期にわたる場合は、経管栄養から胃ろうに移行することが多いので、経管栄養のまま施設に入居するというケースは少ないです。
■ IVH
Intravenous Hyperalimentation(中心静脈栄養法)の略称。大静脈(胸か首か鼠径)にカテーテルを入れて高カロリー輸液で栄養補給する術式。手術後や消化器疾患患者などで食事が出来ない場合に使うことがある。
中心静脈栄養をおこなっている場合、合併症や感染症に注意する等厳密な医療管理が必要です。これらは介護職員だけで対応することは不可能なため、看護師が24時間常駐している、医療機関との連携が密にとれている等の条件を満たさなければならないため、対応可能施設は非常に少ないです。
■ 人工透析
腎臓の機能を人工的に代替することです。週3回程度、1回3~5時間程度、専門の医療機関に行って透析を受ける必要があります。
入居の際には、近隣に送迎付の透析クリニックを見つける必要があります。
■ インスリン対応
糖尿病の方で、膵臓からインスリンの分泌が充分おこなわれない場合、医師の指示により、定期的に注射でインスリンを補充する場合があります。インスリン投与に使われる注射は、針が短く痛みが少ないもので、医療機関で指導を受ければ、自分で投与することができるようになります。
自己注射が不可の場合は看護士により投与が必要なため看護士による投与が受けられる体制が整った施設である必要があります。
■ 褥瘡(じょくそう)
寝たきりの生活を続けると、身体とベッド等が接触している個所の血行が悪くなって、その部分の組織が壊死を起こすことがあります。これが褥瘡です。『床ずれ』といわれることもあります。
褥瘡がある間は、ガーゼを取り替えて消毒する等の医療処置が必要であるため、看護師を配置している体制である必要あります。褥瘡があっても入居できるという施設は比較的多いです。
■ ターミナルケア
末期がんなど、治癒困難な患者と家族を対象とする、身体・精神両面の終末期ケアです。
緩和ケアの病院と提携しているサ高住や、ターミナルケアをおこなっている有料老人ホームも少ないですがあります。