~前回~高齢者と税金Vol.9(バリアフリー改修工事の税制優遇【固定資産税編】)
今回は高齢者の方々と直接的に関係があるわけではありませんが、
最近話題のNISA(少額投資非課税制度/ニーサ)について簡単に解説いたします。
<NISA(少額投資非課税制度)>
1.NISAとは
NISAとは年間100万円までの新規投資に関する利益が非課税となる制度です。
NISAは「日本版ISA」ともいわれ、イギリスのISA(Individual Savings Account/個人貯蓄口座)の制度を参考にしています。それならJISA(ジーサ)になるんじゃないかと思いますが、この愛称自体は公募で決められたものだそうです。参考⇒NISA愛称決定
なおISAはアイサと読みます。
株式の売却益に係る税率は従来は10%でしたが、2014年1月から20%に引き上げられます。NISA口座を使わない場合、10万円の利益が出たら2万円分が持って行かれるということです。こういう事例であればNISAを利用して取引するのがお得ということになります。
2.NISAの仕組み
NISA口座を開設することができるのは、2014年~2023年の10年間です。
NISAでは非課税投資枠が毎年100万円設定できます。
この100万円という枠はあくまで新規投資に関するもので、たとえばNISA枠を使って10万円の株を買ってNISA枠が90万円になった後にその株を売ったとしても、NISA枠が100万円に戻るということはありません。
また、NISA枠のうち、その年に使わなかった分が翌年に繰り越されることはありません。
個々の投資枠の非課税の期間は最大5年間となります。
期間は5年間なので、毎年100万円ずつ使っていけばある年の非課税投資総額が最大で500万円となる、という計算に理論上はなりますが、価格が絶えず変動する株式をキッチリ100万円購入するということは困難なので、使い切ることを狙っても実際にはいくらか端数が出るでしょう。
5年を過ぎた場合は、100万円分だけ翌年の非課税枠に移管することも可能です。
下図は楽天証券のHPからの引用です。
3.NISAのデメリット
NISAのメリット・デメリットは非常に単純化してしまえば、株式取引で利益が出たときはより得で、株式取引で損失が出たときはより損だというものです。
メリットについてはわかりやすいので省略するとして、デメリットとしては具体的には以下のようなものがあげられます。
(1)損益通算ができない
損益通算とは所得計算の際に利益と損失を合算することです。
たとえばA証券の売却で100万円の利益が、B証券の売却で80万円の損失が生じている場合、損益通算により所得は20万円と計算され、その分税金が安くなります。
しかし、NISA口座の場合このような計算ができません。
たとえばNISA口座ではない証券口座で100万円の利益が、NISA口座で80万円の損失が生じている場合、所得は100万円と計算されることになります。
(2)譲渡損失の繰越控除ができない
NISA枠でない口座での上場株式の取引の場合、その年に損失が出た場合でも翌年の所得計算で前年の損失分を控除することができます。したがって損失が出た翌年に利益が出ても、前年の損失分に応じて税金を安くすることができます。
しかしNISAではこの特例は摘要されません。
(3)5年経過後に値下がりしていた場合、その金額が新たな取得価格となる
たとえば100万円の株をNISA口座で購入し5年後80万円まで下落してしまったとします。
これをNISA口座からNISAではない口座に移管した場合、新たに80万円で取得したこととされます。したがって、この後値上がりして90万円となった場合、初期投資額と比較すると10万円の損失が発生しているにもかかわらず、所得計算上は10万円の利益が発生したという計算となってしまいます。
NISAに関してはこのようなデメリットがあることを踏まえて、有効に活用するのが良いでしょう。
ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
次回は高齢者と税金Vol.11(ふるさと納税のススメ)です。
高齢者と税金シリーズ
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