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~前回~高齢者と税金Vol.5(介護費用・高齢者施設と医療費控除)
本日は、保険金を受け取った際の課税関係の解説をさせてもらいます。
<保険金を受け取ったら税金は?>
保険金・給付金を受け取った際は、税金がかかる場合があります。課税される税金は「所得税・住民税」、「相続税」、「贈与税」のいずれかです。
税金の種類は、保険金・給付金の種類、契約者(保険料を支払う人)、被保険者、受取り人の関係によって異なります。
1.満期保険金の場合
満期保険金の場合は契約者(保険料を支払う人)と受取人が同じ人か否かで異なります。
契約者が夫である場合を例として分類すると次のようになります。
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 | |
(1)契約者=受取人 | 夫 | 夫 | 夫 | ⇒所得税(一時所得) |
(2)契約者≠受取人 | 夫 | 妻 | 妻or子 | ⇒贈与税 |
2.死亡保険金の場合
死亡保険金の場合は契約者、被保険者、受取人の関係により以下のように分岐します。
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 | |
(1)契約者=受取人 | 夫 | 妻 | 夫 | ⇒所得税(一時所得) |
(2)契約者=被保険者 | 夫 | 夫 | 妻or子 | ⇒相続税 |
(3)全て異なる | 夫 | 妻 | 子 | ⇒贈与税 |
3.年金の場合
年金の場合も契約者と受取人が同じ人か否かで分岐しますが、契約者と受取人が異なる場合の取り扱いが若干異なります。
契約者 | 被保険者 | 受取人 | 税金の種類 | |
(1)契約者=受取人 | 夫 | 夫 | 夫 | ⇒所得税(雑所得) |
(2)契約者≠受取人 | 夫 | 妻 | 妻or子 | 初年度⇒贈与税 2年目以降⇒所得税(雑所得) |
<それぞれの税金の計算>
課税の対象となった場合、それぞれの課税所得の計算は次のようになります。
税金 | 計算 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
所得税(一時所得) | 一時所得の場合、次のような計算となります。 (参考⇒満期返戻金などの一時所得があった場合) ①一時所得の金額=満期保険金-(支払保険料総額―剰余金)-50万円(50万円に満たない場合にはその金額) ②課税の対象となる金額=①一時所得の金額 × 1/2 |
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所得税(雑所得) | 雑所得の場合は次のような計算となります。 (参考⇒公的年金等の課税関係) 雑所得の金額=(a)×(b)-(c)
公的年金以外の雑所得の計算は次のようになります。 雑所得の金額=収入金額-必要経費 ・収入金額=公的年金等以外の年金の収入金額+剰余金や割戻金 ・必要経費=公的年金等以外の年金の収入金額×(保険料又は掛金の総額÷年金の支払総額又は支払総額の見込み額) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
相続税 | 被相続人の死亡によって取得した生命保険金や損害保険金で、その保険料の全部又は一部を被相続人が負担していたものは、相続税の課税対象となります。 (参考⇒相続税の課税対象になる死亡保険金) ただし、この死亡保険金の受取人が相続人(相続を放棄した人や相続権を失った人は含まれません。)である場合、以下の金額は非課税となります。 500万円×法定相続人数 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
贈与税 | (参考⇒贈与の対象となる生命保険金、贈与税の計算と税率(暦年課税)) 課税対象額=受取り金額−110万円(基礎控除額) |
ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
次回は高齢者と税金Vol.7(孫への教育資金が非課税になる贈与税の新制度)です。
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