←「ゼロから始める相続税入門(11)自宅の評価はどうするか?」前の記事へ
次の記事へ「ゼロから始める相続税入門(13)みなし相続財産・その他の財産の評価方法」→
~前回~ゼロから始める相続税入門(11)自宅の評価はどうするか?
<はじめに>
前回は自宅に関する評価の解説をしました。今回は、居住用の自宅とは別に土地や建物、農地や山林を持つ人の評価の仕方について解説させて頂きます。
<自宅以外の不動産の評価>
自宅以外の不動産の評価は、それぞれに独自の評価方法があります。以下をご覧下さい。
|
種類 |
評価 |
家屋 |
貸家 |
家屋の固定資産税評価額×70% |
宅地 |
自用地 駐車場などの更地 |
路線価×宅地面積 又は 固定資産評価額×評価倍率 |
貸地 |
自用地の評価額-(1-借地割合) |
|
貸家建付地 |
自用地の評価額-(1-借地割合×借家権割合×賃貸割合) |
|
農地 |
4区分に分けられ当てはまる区分の式で計算 |
|
①純農地 …固定資産税評価額×倍率 |
||
②中間農地… 〃 |
||
③市街地周辺農地…④×80% |
||
④市街地農地…宅地比準方式または倍率方式で評価する。 宅地比準方式…(宅地とみなした場合の1㎡あたりの価格-1㎡あたりの造成費)×農地地積(㎡) |
||
山林 |
3区分に分けられ当てはまる区分の式で計算 |
|
①純山林 …固定資産評価額×倍率 |
||
②中間山林… 〃 |
||
③市街地山林…宅地比準方式(上記参照)または倍率方式で評価する。 |
・評価倍率
路線価が定められていない宅地や、田、畑、山林、牧場などの評価額を出す場合に用いられる表です。路線価のHP(http://www.rosenka.nta.go.jp/)を開くと、この倍率表と見方も閲覧できます。地目ごとの区分や評価方式もわかります。税務署でも調べられます。
・固定資産税評価額とは
固定資産税評価額は、毎年6月頃に届く固定資産税の納税通知書に記載された「評価額」と書かれた金額です。
・貸家
人に貸している貸家やアパートなども、建物部分はその家屋の固定資産税評価額をもとに相続時の評価額を算出しますが、家屋は借りている人に借家権があるので、その権利を評価額から差し引くことができます。借家権は通常30%なので、貸家の評価額は固定資産税評価額の70%になります。
・貸地
貸地も貸家と同じ考え方で、自用地の評価額から借地権割合を差し引いて評価額を求めます。
・貸家建付地
所有する土地にアパートやマンションをたてて貸している場合はその土地は貸家建付地となります。貸家建付地は、土地そのものを貸しているわけではありませんが、建物に第三者が住んでいることで所有者の利用が制限されるので借地権割合に借家権割合をかけた金額を自用地の評価額から差し引けます。ですので、節税として更地の駐車場にしておくよりも賃貸住宅のほうがいいというのは、評価が2割から3割更地の評価より低くなるからです。
<評価によって相続税額がかわることも!>
土地の評価額は、路線価方式か倍率評価方式で算出しますが、減額特例が認められれば評価額は下がります。広大地評価というを聞いたことあるでしょうか。広大地とは、その地域の標準的な宅地に比べて著しく広い土地のことです。このような土地を宅地利用するためには、道路や公園などを設けなければならず評価額が1/3まで引き下がることがあります。他には、市街化調整区域の土地や、利用に制限のかかる土地、不整形地、段差がある土地、周辺環境がよくない土地などは評価がさがります。非常に効果が大きいので詳しくは専門家である税理士等にご相談ください。この話はまた次回以降で詳しく解説させていただく予定です。
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
次回はゼロから始める相続税入門(13)みなし相続財産・その他の財産の評価方法”です。
<関連記事一覧>
相続入門
遺言入門
●遺言入門①(なぜ遺言が必要なのか?) ●遺言入門②(遺言が必要な場合の具体例) ●遺言入門③(遺言とはどのようなものか) ●遺言入門④(遺言の種類・方式) ●遺言入門⑤(公正証書遺言の作り方) ●遺言入門⑥(遺言の執行とは) ●遺言入門⑦(遺言と遺留分) ●遺言入門⑧(遺言の撤回・変更について) ●遺言入門⑨(自筆証書遺言の作り方) ●遺言入門⑩(秘密証書遺言の作り方) |
高齢者と税金
成年後見制度入門
●成年後見制度入門①(成年後見制度とは) ●成年後見制度入門②(法定後見制度の利用までの流れ) ●成年後見制度入門③(任意後見制度とは) ●成年後見制度入門④(成年後見制度と日常生活自立支援事業との違い) ●成年後見制度入門⑤(任意後見人の職務) |