~前回~ゼロから始める相続税入門(5)遺産をどのように分けるか(指定分割と協議分割)
前回は遺産の分割の方法について解説しました。本日は、分割方法が決まった後に書面で残す遺産分割協議書の解説になります。
<遺産分割協議書とは>
■遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは、遺産分割協議の内容を書面に落とし込んだものです。この書類は、法律で義務付けられたものではありませんが、後々トラブルにならないように書面での確認はとても大切です。
■作成目的
・相続人の合意内容を明確にする
・記録を残しトラブルの防止
・不動産、預貯金、株式、自動車等の名義変更手続きのため
・相続税の申告書に添付
■形式
遺産分割協議書の作成方法には、決まった形式などはありません。手書きでもパソコンでも可能です。重要なのは、相続人一人ずつに、誰が何を相続したのか、分割した遺産のすべてを具体的に明記することです。
不動産:登記簿の記載通りに所在地番まで記入します。
預貯金:金融機関、支店名、口座番号まで記載します。(預貯金を複数でわける場合は、「うち、定期預金○○万円」と金額まで記載)
その他:記載漏れがあったり、あとで思わぬ財産が見つかった場合に備え、「記載された財産以外があるときは、○○が相続する」という一文があると良いです。
■署名・押印
遺産の分け方をすべて書き出し、全員がその内容をあらためて承諾したら、必ず作成した日の年月日を入れて、相続人一人ずつが署名し、実印で押印します。また、遺産分割協議書は、相続人の人数分だけ作成し、すべてに署名・押印し、相続人がそれぞれ手元に保管します。
■誰が作成するか
遺産分割協議書の作成は、専門家に依頼するのが確実です。、もし自身で作成しても、他の相続人の署名押印をもらう前に、専門家に内容のチェックを受けるのが安心です。司法書士に不動産相続登記を依頼する場合には、遺産分割協議書についても司法書士が作成するのが通常です。また、相続税が発生するような場合ですと税理士が作ることもあります。
<遺産分割協議書の例>
遺産分割協議書 被相続人日本橋太郎の遺産について、同人の相続人の全員において協議を行った結果、それぞれ次のとおり遺産を分割し、取得することを決定した。 1.相続人日本橋花子は次の遺産を取得する。 (1) 東京都中央区日本橋○丁目○番○号 宅地 200平方メートル (2) 同所同番地 家屋番号1番 木造瓦葺平屋建居宅 床面積100平方メートル (3) (2)の居宅内の家財一式 (4) 東京銀行東京支店の被相続人名義の定期預金と普通預金全額(口座番号 1234567) 2.相続人日本橋一郎は次の遺産を取得する。 (1) 日本橋銀行日本橋支店の被相続人名義の定期預金と普通預金全額(口座番号 234567678) (2) 被相続人名義の自家用車 登録番号1234 車台番号5678 3.日本橋次郎は次の遺産を取得する。 (1) 株式会社えんカウントの株式10万株 4.本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人日本橋一郎がこれを取得することに異議ないものとする。 以上のとおり、相続人全員による遺産分割協議が成立したので、本協議書を何通作成し、署名押印のうえ、各自1通ずつ所持する。 平成26年2月20日 相続人 住所 東京都中央区日本橋○丁目○番 氏名 日本橋花子 印 相続人 住所 東京都中央区日本橋○丁目○番 氏名 日本橋一郎 印 相続人 住所 東京都豊島区池袋○丁目○番 氏名 日本橋次郎 印 |
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
次回はゼロから始める相続税入門(7)相続はいつ誰に相談するか?です。
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