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かつて判断力が低下した人にに高額で不当な商品を売り込むという悪徳商法が問題となり、2000年に「成年後見制度」が作られました。
本日より「成年後見制度」について解説させて頂きます。
<成年後見制度とは>
成年後見制度とは、判断力が不十分な方を保護するため、一定の場合に本人の行為能力を制限し、本人のために法律行為を行う者、本人による法律行為を助ける者を選任する制度です。分かりすく言い換えますと、本人に変わって財産を管理したり、契約を結んだりする後見人を選任する制度です。
成年後見制度には、本人の判断力が低下してしまってから、家庭裁判所が後見人を任命する「法定後見制度」と、本人に判断能力があるうちに、将来のトラブルを未然に防ぐため、信頼できる人と後見契約を結ぶ「任意後見制度」の二つがあります。
法定後見制度と任意後見制度
法定後見制度 | 任意後見制度 | |
対象 | 判断能力が衰えた人 | 判断能力が衰えていない人 |
内容 | 認知症などによって精神上の障害がある場合に利用できます | 将来のために自分を援助してくれる人や、望む援助の内容をあらかじめ決めておきます |
<法定後見人の種類>
後見人には、本人の判断能力によって、後見・保佐・補助の3種類があります。
後見 | 保佐 | 補助 | |
対象 | 判断能力が欠けているのが通常の状態の人 | 判断能力が著しく不十分な人 | 判断能力が不十分な人 |
申立人 | 本人、配偶者、4親等内の親族、市区町村など | ||
後見人の同意(取消)が必要な行為 | 日常生活に関する行為以外の行為 | 民法第13条1項に定める行為(借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、新築・改築など) | 民法第13条1項に定める行為の一部(本人の同意が必要) |
代理権の範囲 | 財産に関する法律行為についての代理権と財産管理権 | 申して立ての範囲内で、家庭裁判所が定める特定の法律行為 |
<まとめ>
成年後見制度には、本人の判断力が低下してしまってから後見人を立てる「法定後見制度」と、本人の判断能力があるうちに、信頼できる人と後見契約を結ぶ「任意後見制度」があります。また、法定後見登記がなされている場合は、特別の理由がない限り法定後見の審判がうけられません。つまり、任意後見契約が法定後見に優先する制度となっています。
次回は成年後見制度入門②(法定後見制度の利用までの流れ)です。