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ゼロから始める相続税入門(5)遺産をどのように分けるか(指定分割と協議分割)

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~前回~ゼロから始める相続税入門(4)単純承認・相続放棄・限定承認

本日は、財産を相続すことが決まったら、それを相続人の間でどのように分けるかについて解説します。大きく分けると遺言書がある場合(指定分割)と遺言書が無い場合(協議分割)に分けられます。

<指定分割(遺言書がある場合)>
遺産分割では、遺言書があれば、その内容が何より優先されます。遺言書に基づいて遺産を分ける方法を指定分割といいます。
遺言書には、一般的には「公正証書遺言」、「自筆証書遺言」、「秘密証書遺言」と3種類あります。「公正証書遺言」、「自筆証書遺言」が一般的ですので、この2つの手続きを理解してください。

■公正証書遺言の場合
公正証書遺言の場合は、手元にない場合は、原本が公証人役場にありますので、最寄りの公証人役場に問合せをすると調べてもらえます。公正証書遺言の場合は、内容を確認し承認したらすぐに遺言内容に合わせて遺産を分けることができます。

■自筆証書遺言の場合
自筆の遺言書を見つけた場合は、見つけた状態のまま家庭裁判所で検認を受けることが必要です。注意すべきなのは、封がしてある場合は開封してはいけないことです。
ここで検認とは、その遺言書が被相続人によって作成したものかを確認し、その内容を認定する手続きです。
手続きの流れとしては、遺言書の保管者か相続人が必要書類を持って被相続人の住所地を管轄する裁判所に行き、検認の申し立てを行います。後日、家庭裁判所から期日が通知されますので、あらためて相続人の立ち会いのもと検認が行われ検認済証明書が交付されます。ここまでの手続きで1ヶ月以上かかることもあります。

■共通の手続き
遺言書で、遺言執行者が指定されればその遺言執行者が遺産を管理し、分割のために必要な手続きを行います。相続人全員の承諾や印鑑証明など、煩雑な手続きが必要なことも遺言執行者なら一人で対応できることもあり、遺産分割もスムーズに実行しやすくなります。また、遺言書の内容に納得できない場合は、相続人全員で話し合い遺産の分け方を変えることも可能です。

関連記事→遺言入門⑥(遺言の執行とは)

<協議分割(遺言書がない場合)>
相続人全員で話し合って分ける方法を協議分割といいます。相続人が一人ならその人がすべて相続できますが、複数いる場合は、話し合いと言っても全員が納得するように分けるのは簡単ではありません。そこで目安となるのが「法定相続分」です。これは民法で定められた各相続人の相続割合で、相続人がどういう組み合わせになるかで、下図のように決められています。

■法定相続分

続柄
配偶者

父母
兄弟姉妹

配偶者と子
1/2
1/2
なし
なし

配偶者と父母
2/3
-
1/3
なし

配偶者と兄弟姉妹
3/4
-
-
1/4

配偶者だけ
全部
-
-
-

子だけ
-
全部
-
-

父母だけ
-
-
全部
-

兄弟姉妹だけ
-
-
-
全部
①の場合、子は2分の1をその人数により均分します。
②の場合、父母は3分の1を均分します。
③の場合、兄弟姉妹は4分の1を人数により均分します。
※実子と養子、実父母と養父母の相続分は同じです。

■遺留分
遺産分割では、法定相続割合に従う必要なく自由に決められますが、相続人の権利を守るため「最低でもこれだけは相続できる」という相続分を保証しています。これを遺留分いいます。遺留分は、法定相続分の1/2であり、配偶者と子、父母だけが請求できる権利です。ですので、兄弟姉妹には遺留分はありません。

<寄与分と特別受益>
相続人が生前に財産の贈与を受けていたり、被相続人のために尽力していた場合、法定相続分だけで分割すると、不公平になることもありますので、次で説明する寄与分と特別受益の部分を考慮して相続分に加減算します。
■寄与分
寄与分とは、被相続人の財産維持や増加に貢献した相続人に与えられるものです。例えば、被相続人の仕事の支援をしたり、仕事をやめて被相続人の介護に専念して介護費用が抑えられた場合に認められます。

■特別受益
特定の相続人が他の人に比べて高額の進学、結婚、住宅資金をもらっていた場合に配慮する金額です。

ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)

次回はゼロから始める相続税入門(6)遺産分割協議書の作成です。

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