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遺言入門⑥(遺言の執行とは)

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~前回~遺言入門⑤(公正証書遺言の作り方)

前回は公正証書による遺言の作り方について解説させて頂きました。本日は『遺言の執行』について解説させて頂きます。

<遺言の執行とは>
遺言の執行とは、遺言者が死亡して、遺言の効力が生じた後に遺言の内容をそのとおりに実行することです。
遺言の執行は、遺言執行者が行うことになります。

<遺言執行者>
遺言執行者とは、相続開始後、遺言者にかわって遺言の内容を実現する人をいいます。遺言執行者は、遺言の書かれている内容・趣旨にそって、相続人の代理人として相続財産を管理し、名義変更等の各種手続きを進めることになります。遺言執行者は、①遺言で指定された者又は②家庭裁判所により選任された者がなります。

①遺言で指定された者
遺言執行者は、遺言により指定をすることが出来ます。遺言者は遺言で、1人又は数人の遺言執行者を指定し、その指定を第三者に委託することができます。また、遺言の内容、作成された経緯など、総合的に遺言執行者の指定がなされていると判断できればたり、必ずしも遺言執行者を表示する必要はありません。
遺言により指定の効力が生じても、指定された者はには遺言執行者になるか否かのについて承否する自由があります。

②家庭裁判所により選任された者
遺言で遺言執行者が指定されていない時や、指定された遺言執行者が死亡等によりいなくなった場合は、利害関係人の請求によって家庭裁判所で遺言執行者を選任することができます。
ここでいう利害関係人とは、相続人、受遺者、これらの者の債権者または不在者財産管理人、相続債権者及び相続財産管理人等をいいます。
家庭裁判所で、遺言の内容から遺言の執行を必要と判断すれば、遺言執行者選任の審判を行うことなります。

■遺言執行者になれない者
・未成年者
・破産者
遺言執行者は上記を2つを除けば、たとえ法人(信託銀行など)であっても問題ありません。また、相続人又は受遺者を遺言執行者に指定することも差し支えありません。ただし、遺言執行者は、利害関係が複雑に絡むことが多く、手続きがスムーズに進まないおそれが生じます。ですので、相続について利害を持っていない人や相続に関して知識と経験がある人(税理士や弁護士など)を指定するのが望ましいでしょう。
ちなみに、遺言執行者の資格の判断は、遺言書作成時ではなく、遺言の効力発生時です。

■遺言執行者の解任・辞任
遺言執行者が任務を怠ったときやその他正当な事由があるときは、利害関係人の請求によって、家庭裁判所は遺言執行者を解任できます。また、遺言執行者側も、正当な事由がある場合は、家庭裁判所の許可を得て辞任することができます。

<遺言執行者がすること>
遺言執行者は、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有します。執行すべきことは、遺言の内容によって異なるため、すべての遺言執行者が同一の権限を有するわけではありません。以下に遺言執行者が行うことを例示列挙します。

■遺言執行者がすること

①相続人・受遺者へ遺言執行者に就任した旨の通知(遺言書の写しを添付)
②財産目録を作成し、相続人・受贈者へ交付
③受贈者に対して遺贈を受けるかの確認
④遺言による認知がある場合、市町村役場に戸籍の届け出
⑤相続人を廃除する遺言があった場合、家庭裁判所に廃除の申し立
⑥不動産がある場合は、不動産登記手続き
⑦遺言に従って受遺者へ財産の引き渡し
⑧相続財産の管理、その他遺言の執行に必要な一切の行為
<補足事項>
②→相続人の請求があるときは、相続人の立会のもと財産目録を作成し、もしくは公証人に作成させなければなりません。財産目録作成の方式にとくに規定はありませんが、資産及び負債を明示し、作成の日付を記載し、遺言執行者が署名するのが一般的です。
④→遺言で認知がなされている場合、遺言執行者は、就職の日から10日以内に戸籍上の届出をしなければいけません。成年の子の場合は、その承諾、胎児の認知の場合はその母親の承諾が必要ですが、これも遺言執行者が行う必要があります。
⑤→家庭裁判所にその請求が確定した場合、戸籍上の届出をする必要があります。

■執行を要しない事項
相続分の指定およびその委託、特別受贈者への相続分に関する意思表示、遺産分割方法の指定またその委託、遺産分割の禁止については執行を要しないとされています。また、後見人の指定および後見監督人の指定は、遺言の効力が発生すると同時に効力が生じ、戸籍上の届出も後見人、後見監督人がなすべきものとなります。

<遺言執行に係る費用>
遺言の執行に関する費用は、相続財産から支払われることになります。遺言の執行に関する費用は以下のものがあります。

・遺言書検認申請の費用
・相続財産目録作成の費用
・相続財産を管理する費用
・遺言執行者に対する報酬
・遺言執行に関連する訴訟費用等

■遺言執行者に対する報酬
遺言執行者の報酬は、遺言で定めることができ、遺言に報酬の定めがない場合には、家庭裁判所が、相続財産の状況やその他の事情を考慮して定めることができるとされています。
遺言執行者を信託銀行や弁護士、税理士、司法書士にした場合にどのくらい費用がかかるかについては以下を参照ください。

●信託銀行
執行の最低報酬が105万円~というのが多いようです。またどの信託銀行も相続資産の1%~3%で設定しています。信託銀行は報酬は高いですが、安心感があるというのがメリットとなるでしょう。(特に特別なことをするわけではありません。)
参考:みずほ信託銀行三井住友信託

●弁護士
法律事務所によって違いますが、20万円~100万円となっている事務所が多いようです。そして、銀行と同じように相続財産の1%~3%としている事務所が多いです。
弁護士に遺言執行を依頼するメリットは、相続人同士で揉めた時に訴訟対応が早いという点にあります。

●税理士・司法書士
30万円程度から相続財産の1%程度というところが多いです。相続において、税理士は相続税申告、司法書士は不動産登記が独占業務となっており、遺言執行と一緒に依頼を受けることが多いため、割安になることが多いようです。

<まとめ>
遺言作成時は、遺言執行者を定めた方が効力発生時にスムーズに手続きが進むことになります。執行に関する報酬なども考慮しながら検討する必要があります。

<用語解説>
・公証役場
公証役場(公証人役場ともいう)とは、公正証書の作成、私文書の認証、確定日付の付与等を行う官公庁です。各法務局が所管し、公証人が執務します。全国に約300箇所あります。
・公証人
公証人とは、ある事実の存在、もしくは契約等の法律行為の適法性等について、公権力を根拠に証明・認証する者のことです。公証人は、実務経験を有する法律実務家の中から、法務大臣が任命する公務員です。
・公正証書
公正証書は、法律の専門家である公証人が公証人法・民法などの法律に従って作成する公文書です。公文書ですから高い証明力があるうえ、債務者が金銭債務の支払を怠ると、裁判所の判決などを待たないで直ちに強制執行手続きに移ることができます。
・検認
検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに、遺言書の形状・加除訂正の状態・日付・署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。
・遺贈
遺贈というのは、遺言によって、遺言者の財産の全部または一部を贈与することをいいます。「相続」と「遺贈」の違いは、相続はなんら手続きを経ることなく当然に被相続人の財産が相続人に引継がれることをいいます。
・認知
認知とは,嫡出でない子(非嫡出子)と親との間で法律上の親子関係を発生させる手続で、主として父親との間で必要とされるものです。認知には父親が自発的に自分の子であることを認める任意認知と、子のほうから父親に対して請求し判決または審判で認められる強制認知の二つの方法があります。

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(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)

次回は遺言入門⑦(遺言と遺留分)です。

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