~前回~ゼロから始める相続税入門(17)相続税の納付と延納・物納
本日はサ高住と小規模宅地について解説させて頂きます。
<小規模宅地の特例とは>
■小規模宅地の特例とは
居住用宅地や事業用宅地、または貸付用宅地については、一定の要件のもと、一定の面積まで、一定の割合まで評価の減額ができることが認められています。これを小規模宅地等の特例と言います。
小規模宅地等の特例による減額率は最大80%ですので、非常に重要な制度になります。
ここで老人ホーム等に入所したことにより、被相続人の居住の用に供されなくなった家屋の敷地についても、一定の要件を満たす場合に、被相続人の居住用宅地として小規模宅地の特例を適用できます。この制度は平成26年1月1日以後の相続より適用となりましたので、改正内容を踏まえて解説いたします。
■改正前
小規模宅地の特例が受けられる要件としては以下を満たす場合です。
(1)身体又は精神上の理由により介護を受ける必要があったため入所したこと (2)被相続人がいつでも生活できるように建物の維持管理が行われていたこと (3)入所後新たにその建物を他の者の居住等の用に供していた事実がないこと (4)被相続人や親族が老人ホームの所有権や終身利用権を取得していないこと |
■改正後(平成26年1月1日以後)
小規模宅地の特例が受けられる要件としては以下を満たす場合です
(1)被相続人に介護が必要なため入所したものであること (2)その家屋が貸付等の用途に供されていないこと |
改正により条件はかなり緩和され、適用対象となる老人ホーム等の対象も明文化されました。ここでサ高住も含まれていることをご確認ください。
● 認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居(老人福祉法第5条の2第6項) ● 養護老人ホーム(老人福祉法第20条の2) ● 特別養護老人ホーム(老人福祉法第20条の5) ● 軽費老人ホーム(老人福祉法第20条の6) ● 有料老人ホーム(老人福祉法第29条第1項) ● 介護老人保健施設(介護保険法第8条第27項) ● サービス付き高齢者向け住宅(高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項) ● 障害者支援施設又は共同生活援助を行う住居(障害者総合支援法第5条第11項、15項) |
関連記事:ゼロから始める相続税入門(16)小規模宅地の特例とは(自宅の土地は80%減に)
<サ高住はどんなサ高住でも良いか(特定施設でなくてよいか)>
サ高住は、大きく分けて特定施設と言われる介護付有料老人ホームに近いものとそれ以外がありますが、どのようなサ高住でも適用となるかが論点になります。ここで高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項を見てみます。
第五条 高齢者向けの賃貸住宅又は老人福祉法第二十九条第一項 に規定する有料老人ホーム(以下単に「有料老人ホーム」という。)であって居住の用に供する専用部分を有するものに高齢者(国土交通省令・厚生労働省令で定める年齢その他の要件に該当する者をいう。以下この章において同じ。)を入居させ、状況把握サービス(入居者の心身の状況を把握し、その状況に応じた一時的な便宜を供与するサービスをいう。以下同じ。)、生活相談サービス(入居者が日常生活を支障なく営むことができるようにするために入居者からの相談に応じ必要な助言を行うサービスをいう。以下同じ。)その他の高齢者が日常生活を営むために必要な福祉サービスを提供する事業(以下「サービス付き高齢者向け住宅事業」という。)を行う者は、サービス付き高齢者向け住宅事業に係る賃貸住宅又は有料老人ホーム(以下「サービス付き高齢者向け住宅」という。)を構成する建築物ごとに、都道府県知事の登録を受けることができる。
高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条第1項では、サ高住の定義を書いているだけで特に特定施設については触れていませんので、どのようなサ高住であっても都道府県に登録されているサ高住であれば小規模宅地の特例を適用できる考えられます。
関連記事:有料老人ホーム入門(20)(有料老人ホームと相続問題~入居一時金・小規模宅地~)
<入居時期の要介護認定・要支援認定の必要性>
改正後の小規模宅地の適用については「要介護認定又は要支援認定を受けていた被相続人が施設に入所していたこと」と相続開始時点で判定することになりますので、入居前に認定を受けている必要はありません。
その他、ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
次回はゼロから始める相続税入門(19)路線価についてです。
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