~前回~サービス付き高齢者向け住宅入門⑮(安否確認)
⑪退去要因にて、重度の認知症症により、夜間の徘徊や暴言、暴力行為等ににより退去要因となる可能性があると解説しました。
今回は、認知症とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)と認知症についてもう少し詳しく解説したいと思います。
まずはじめに、認知症の解説から始めたいと思います。
<認知症とは>
認知症とは、脳や体の病気、外傷などにより、脳の細胞が壊死、あるいは組織が変性して、一度獲得した知能が継続的に低下し、生活に支障がある状態をいいます。
原因は、①アルツハイマー病、②脳血管障害、③レビー小体病の3つが大きな割合を占めています。高齢期では誰にでも起こる可能性があります。
<認知症の主な症状>
認知症の症状は、大きくわけると「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD)」の2つに分けられます。
●中核症状
病気等により脳の細胞が壊れ、その細胞が担っていた機能が失われたために生じる症状
□記憶障害…ちょっと前のことが思い出せない/覚えたはずのことを忘れる
□見当障害…時間・季節・場所のの感覚がわからない/道順などがわからない
□理解・判断力障害…考えるスピードが遅くなる
□実行機能障害…家電や自販機が使えない
●行動・心理症状(BPSD)
「中核症状」により生活上の困難にうまく適応できない場合に、本人の性格、環境、身体状況が加わって起こる症状です。
徘徊、昼夜逆転、不眠、独語、不潔行為、拒食、幻覚、興奮、せん妄、抑うつ等。
<サ高住と認知症>
本題に入ります。サ高住で退去の要因になる場合については、上記の●中核症状と●行動・心理症状(BPSD)に分けられます。
●中核症状
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の作りとして、共用の玄関部分に四桁の暗証番号入力が必要な設計の場合、記憶障害により暗証番号の解除ができなくなる可能性があります。
そうしますと日常生活が困難となりますので、退去要因となります。
●行動・心理症状(BPSD)
こちらが退去要因となるケースが多いです。
夜間の徘徊や暴言、暴力行為等は、集団生活を行なう上で大きな弊害になる可能性がありますので、退去要因となります。
しかし、必ず上記のような症状が出たら退去しなければならないというわけではありません。
行動・心理症状というのは、多少の物忘れなどのために、他者からの避難したり大きな失敗をして、ノイローゼ的な状況になった結果と言えます。
これらは、周囲の環境、医療的治療が適切であれば、症状の改善が図られます。
よって、サービス付き高齢者向け住宅の対応によっては、行動・心理症状が出たとしても適切なサポートによってずっと生活することが可能な場合もあります。
<認知症に関するサ高住の取り組み>
・サービス付き高齢者向け住宅の他に、グループホームを運営している場合は、そちらに優先的に入れるようにする。
・夜間の徘徊などを行なう人がいる場合は、玄関や窓などの施錠を強化する。
・外出は付き添い者を必須とする。
・外出時にGPS機能をもった装置を持ってもらい、帰ってこない場合は迎えに行く。
・認知症の行動・心理症状が出ても、薬の処方と献身的な介護により症状が収まるのを待つ。
認知症のケアについては、運営会社の方針は様々です。認知症にならないという保証はありませんので、入居を考える際はしっかりと方針を聞いておきましょう。
ご不明点等ございましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にご連絡ください。
次回はサービス付き高齢者向け住宅入門⑰(サ高住と在宅療養支援診療所)です。
~今までのサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)についての解説~
●①概要 ●②現状の数と将来推移 ●③サービスとは? ●④サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違い ●⑤メリット・デメリット ●⑥ご夫婦部屋について ●⑦入居条件 ●⑧食事について ●⑨併設施設 ●⑩地域と月額料金 ●⑪退去要因 ●⑫サービス付き高齢者向け住宅と医療行為 ●⑭契約関連その① ●⑭契約関連その② |
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