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前回~ゼロから始める相続税入門(25)生前贈与の活用②(贈与税の配偶者控除)
本日は、生前贈与の活用の3回目になります。今回は相続時精算課税制度の解説になります。
<相続時精算課税制度>
相続時精算課税制度は、生前に財産を推定相続人に贈与し、実際に相続が発生したときに、生前贈与した分を含めて相続税を計算して精算するというものです。
●概要
対象の人 |
贈与者:65歳以上の父母(住宅資金を贈与する場合は年齢制限なし) 受贈者:20歳以上の子(世襲相続を含む) |
---|---|
対象の財産 |
財産の種類に制限はなし |
非課税額 |
累計で2,500万円 |
税率 |
非課税枠の超過分について20%の贈与税が課される |
選択届出 |
贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日までの贈与税の申告期間内に、贈与税の申告と一緒に届出(相続時精算課税選択届出書) |
注意点 |
・一度選択したら撤回はできない ・暦年贈与との併用ができない |
計算 |
課税価格は贈与者ごとに計算される |
相続税額 |
相続税額の評価は、贈与時の時価で計算されます。 |
タックスアンサー |
https://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4103.htm |
●改正点>
平成27年1月1日以降の贈与から贈与する側が65歳以上となっていたところを60歳以上となり贈与者に祖父母が加えられました。また贈与される側は、原則、子に限定されていましたが、それを孫にまで拡大することになります。
●メリット・デメリット
メリット |
・2,500万円まで贈与税がかからない ・贈与を受けた財産から利益を受ける(家賃収入等) ・相続税がかかる人は、財産価値の上昇した場合は得をする |
---|---|
デメリット |
・相続税がかかる人は、財産価値の下落分した場合は損となる ・移転コスト(不動産の贈与にかかる登録免許税や不動産取得税) ・相続発生時の遺産分割で贈与を受けた分(特別受益)を遺産に加えて計算される可能性がある |
●登録免許税
固定資産税の評価額の2%(相続の場合には0.4%)
●不動産取得税
固定資産税の評価額の3%(相続の場合にはかからない)
<相続発生時>
贈与財産を相続財産に加えて相続税の計算をします。その際、既に払った贈与税があるときは相続税から差し引けます。さらに、控除しきれなかった贈与税があれば、その金額は還付されます。
<利用にあたって慎重に検討を>
資産の有効活用としてメリットがある相続時精算課税制度ですが、暦年課税の非課税枠が使えなかったり、資産家の場合は高い相続税率が適用されたりという可能性がありますので、慎重な検討が必要です。高い相続税率が発生しそうな場合には、暦年課税を利用して贈与税を払ってでも相続財産を減らした方が、税額が総額で税額が少なくなるケースがあります。
税額を比較するには、正確なシュミレーションが必要となりますので、しっかりと税理士に相談することが失敗しない相続対策では重要です。
●他の生前贈与の制度
・ゼロから始める相続税入門(24)生前贈与の活用①(暦年課税と住宅資金の贈与の特例)
・ゼロから始める相続税入門(25)生前贈与の活用②(贈与税の配偶者控除)
その他、ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
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