前回~ゼロから始める相続税入門(20)相続財産リストを作ろう
■なぜ争続が起きるか
相続による遺産分割の争い、これを「争続」と言ったりします。財産が少ないから大丈夫、家族が仲が良いから大丈夫と思っていても実際に『争い』が起きるケースは非常に多いです。それはなぜかというと、親から同じように愛情を受けて育ったといえども、学費や生活面ですべて平等というわけにはいきません。介護をやってきた、大学に行けなかった、見舞いにもあまり来ない、このような育ってきた過去の中で不公平感を持っている事が多いため、この差を相続で取り返そうとして『争い』が起こってしますケースが多いのです。
■争続対策
望ましいのは、残された相続人が協議して円満に分割することです。しかし必ず大丈夫という保証はありませんので、ある程度の対策が必要になります。本日は争続対策として3つ紹介させて頂きます。
①財産を分けやすい形にしておく
争続対策の1つ目は、財産を分けやすい形にしておくことです。複数の不動産を持っている場合などは、売却しておいたり、分割しておくのも1つの方法です。ただし、不動産が自宅だけという場合は難しいです。
②遺言書を作成する
2つ目は遺言書を作っておくということです。相続の基本はやはり、被相続人であるお父さんやお母さんの遺志を最大限に尊重するのが第一です。引き継がせようとしているものを守り築き上げてきたのは他でもない、両親です。もし争続としてもめて調停や審判になったときは、原則として法定相続分で分けることになります。誰に何をという希望があれば遺言書に書いておけば遺言内容が優先されます。
関連記事→遺言入門⑤(公正証書遺言の作り方)
③生命保険を活用する
3つ目は生命保険の活用です。例えば、相続財産が1戸建ての自宅のみだったとします。実際に相続が発生した際に、長男がその持ち家に住むことになり、家と土地を相続した場合、兄弟で不平等が発生します。長男が弟たちに支払う財産がなければ、せっかくの持ち家を売却しなくてはならないといった事も考えられます。自分たちの育った思い出の家を売却することは、とても悲しいことです。こうした際に、相続にむけて自宅以外の財産を保全しておく必要があり、これには生命保険への加入がとても便利です。長男以外の兄弟を受取人とする生命保険に加入しておけば、実際に相続が発生したときに保険金が二人に支払われ『争続』が回避できます。
さいごに
さきほども説明しましたが、相続の基本はやはり、被相続人であるお父さんやお母さんの遺志を最大限に尊重するのが第一です。のちのち『争続』が起きないように生前に家族会議を開いて、「このように分割する。理由は○○だよ」と言い聞かせるだけでもかなりの効果が得られます。
「財産」は人の生活を豊かに幸せにするためにあります。しかし、その「財産」が原因で親戚同士で喧嘩をしたり、兄弟間でもめごとを起こすなどということは本末転倒です。今まで仲の良い円満な親戚・兄弟関係が続いていたのに、相続によって関係が崩れのはとてもとても悲しいことですので、そうしたことのないような事前の対策が重要です。
その他、ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
<関連記事一覧>
相続入門
遺言入門
●遺言入門①(なぜ遺言が必要なのか?) ●遺言入門②(遺言が必要な場合の具体例) ●遺言入門③(遺言とはどのようなものか) ●遺言入門④(遺言の種類・方式) ●遺言入門⑤(公正証書遺言の作り方) ●遺言入門⑥(遺言の執行とは) ●遺言入門⑦(遺言と遺留分) ●遺言入門⑧(遺言の撤回・変更について) ●遺言入門⑨(自筆証書遺言の作り方) ●遺言入門⑩(秘密証書遺言の作り方) |
高齢者と税金
成年後見制度入門
●成年後見制度入門①(成年後見制度とは) ●成年後見制度入門②(法定後見制度の利用までの流れ) ●成年後見制度入門③(任意後見制度とは) ●成年後見制度入門④(成年後見制度と日常生活自立支援事業との違い) ●成年後見制度入門⑤(任意後見人の職務) |
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)についての解説
~関連記事~