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~前回~自分史についてVol.45(自分史と遺言書)
自分史とはどのようなものかについてはこちらをご参照ください。→自分史についてVol.1(高齢者と自分史)
本日も前回に引き続き、提携している行政書士であり自分史活用アドバイザーの馬場先生に、体験談を交えた自分史についての記事を書いて頂きました。第46回目は『自分史を仕事に活用する方法』です。
<自分史を仕事に活用する方法>
自分史にはプライベートのイメージが強く、仕事のことも勿論含まれるがそれが自分以外の誰かに活かされるなどと考える方は少ないかと思います。自分史ではなく自分の歴史において多くの時間や労力を割いたであろう仕事に特化して記録したものを「仕事史」と言います。自分のしてきたことを中心に書くということにおいてはどちらも「自分史」と言えますが今回は自分史を一つの資料として業務マニュアル的な使い方も可能だというお話をします。
組織の大小にかかわらず仕事が丸ごと一人の人に任されてしまいその人にしかわからないという状態が多く存在すると思います。いわゆる「業務の属人化」と呼ばれるものです。それを防ぐために大きな規模の企業では人事異動などを繰り返し、仕事が特定の人につかないよう業務マニュアルなどを作っていくのですが、多くの中小企業や零細企業においてはそのような余裕もなく、弊害もわかっていながら何も対策を打たないことが現状だと思います。
そのような現実を受け止め、あえて時間をかけて業務を一つ一つ細分化するのではなく、担当者、職人、創業者が仕事を通じ自分の経験したことをその人ごと丸ごとすべてを記録することで、それをそのままその立場を引き継ぐ人にとってのマニュアルにしてしまうという方法があります。
このような使い方をされる自分史(仕事史)とは生きたマニュアルであると言えます。特に結果を出すことに必要性を迫られる仕事においては、創業者が大きな決断をした場面などの記載を参考にすることで、創業者の想いも込められた意思決定が可能になり、単なる個人の発想を超えた経営が継承されていきます。これは長い年月をかけて続いてきた企業だからこその財産であり、それを残す創業者も最後の仕事として充実感を大きく感じるとともにそれを引き継ぐ方々にとっても単なる業務の引継ぎ以上の価値を得ることで対外的にも更なる信頼感を獲得し企業の成長を実感するときでもあります。
一般的ないわゆるマニュアルが定形的な一つ一つの事柄に対して対処方法もそれに対応するかたちで個別に記載されているのに対し、自分史(仕事史)では自分を中心とした主観的な考え方でのプロセスや失敗の原因など専門書やインターネットのどこにも書いていない情報を得られえることが可能となります。
また事業承継は企業が必ずいつかは迎えなければならないことで、一般的には「大変」「困難」「うまく行かないもの」なので「避けたい」や「先延ばし」になっているケースが非常に多いことも中小零細企業の大きな問題かと思います。逆にいつかは必ず来るのだから早めにいい形で取り組むといった選択も可能なわけです。
また、受け手から見ると創業者の年齢や経験年数などは今の自分と比べる際のベンチマークとなり、創業者の偉大さを再確認したり、場合によっては「自分もなかなか頑張っている!」と言えるような場面も確認することが出来、創業者の気持ちを理解することでこれからさらに次の世代へ何かを伝えて行くための大きなモチベーションとなります。
冒頭に述べた「業務の属人化」は防げない問題であると割り切り、その延長上の最後の仕事として自分の残した記録をその時々の心境も交え残すことを会社の伝統としてみてはいかがでしょうか。きっと多くの方に必要なものとなるでしょう。
つるま行政書士事務所
自分史・エンディングノート・遺言・相続
馬場敦先生は町田市鶴間に事務所を構えていて、地域密着、個人密着をモットーに活動されています。法的な遺言書の有効性を高めるために自分史やエンディングノートを活用して、家族に想いを伝えるトータルメモリーサポート事業をおこなっています。主に、自分史・遺言書作成で連携させて頂いております。⇒回顧録チラシ
<自分史の記事一覧>
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相続入門
遺言入門
●遺言入門①(なぜ遺言が必要なのか?) ●遺言入門②(遺言が必要な場合の具体例) ●遺言入門③(遺言とはどのようなものか) ●遺言入門④(遺言の種類・方式) ●遺言入門⑤(公正証書遺言の作り方) ●遺言入門⑥(遺言の執行とは) ●遺言入門⑦(遺言と遺留分) ●遺言入門⑧(遺言の撤回・変更について) ●遺言入門⑨(自筆証書遺言の作り方) ●遺言入門⑩(秘密証書遺言の作り方) |
<ニュース・イベント等>
●テレビ番組 ・NHKのEテレ「団塊スタイル」2013年6月14日金放送:意外な効用!自分史づくり http://www.nhk.or.jp/dankai/bangumi/num062/ ●新聞 ・東京新聞2013年6月12日:お父さんの「自分史」贈ろう 父の日 今年は「モノより思い出」を http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013061202000156.html ●自分史年表作成サイト ・Histy http://histy.jp/ ●イベント ・自分史フェスティバル2013(東京・両国の江戸東京博物館 2013年8月7日開催) http://www.jibun-shi-festival.net/ ・自分史フェスティバル2014 http://www.jibun-shi-festival.net/ |
<関連商品・書籍>
自分史作成キット 和装本 自分の歴史を書いてみよう ([バラエティ])
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