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~前回~自分史についてVol.44(自分史と相続)
自分史とはどのようなものかについてはこちらをご参照ください。→自分史についてVol.1(高齢者と自分史)
本日も前回に引き続き、提携している行政書士であり自分史活用アドバイザーの馬場先生に、体験談を交えた自分史についての記事を書いて頂きました。第45回目は『自分史と遺言書』です。
<遺言書と自分史>
■遺言書にも自分史を活用できる
前回は自分史が相続の際に何かと役立つことがあるという話をしました。相続と言えばセットで考えられるものとして『遺言書』があります。『遺言書』を遺すことで多くの相続問題は解決すると言われています。特に公証人が作成する公正証書遺言は本人の意思であることを公に証明した遺言書ですのでこの形式で遺すことを薦める専門家が多いかと思います。法的に利害関係者に対し何も言わせないという観点からはこの方法が正しいかとは思いますが、故人の本当の遺志や想いを正しく伝える理解させるという観点から考えると必ずしもこの方法が一番いいことだとは思えません。今回は遺言書にも自分史を活用してその有効性を更に高めるというお話をしたいと思います。
関連記事:遺言入門①(なぜ遺言が必要なのか?)
■遺言書に書くこと
遺言書に書くべき事柄として、①相続に関すること②財産の処分に関すること③身分に関することの3つがあります。これを「遺言事項」と言います。言い方を変えるとこの部分のみに法的な効力があり、その他のことが遺言書に書いてあった場合、それを実現しなくても法的には全く問題はありません。そして『なぜ?』という理由に関してはたとえそれが財産のことであっても記載する必要がありません。
■『なぜ』書いたのかが大事
ただ必要がなくても『なぜ?』という部分は誰でも知りたいことだと思いますし、そもそも『なぜ?』遺言書を書いたのかという目的は当然書いた方にはしっかりとあるはずです。書く必要が無くてもこの部分を明確に遺すことで遺言書がグッと信頼性の高いものになり、その人にしか遺すことの出来ない大切なメッセージとなります。つまり心を動かす遺言書になるのです。この話をする時に私は「北風と太陽」というイソップ童話をよく思い出します。法定な強制力は北風のようにいくら吹きつけても人間の心を吹き飛ばすように変えることは出来ません。かたや太陽のように人間が自ら行動に移せる方法もあるのです。遺言書においては上記の「遺言事項」にそえる「付言事項」というものがあり、この部分に太陽のような役割があると思っています。ここには何を書いても自由なのですが「なぜ?」ということについてやこれからの要望(自分が死んだあと)など記載されることが多いようです。
■「付言事項」に自分史的な文言を取り入れる
この付言事項はその言葉通り『おまけ』のような扱いだったり、書いた時点の気持ちを書いた瞬間的なものだったりします。私は遺言書に関わる立場として「遺言事項」を誰に対しても納得させるためにはもう一工夫必要であると常々感じていました。また『おまけ』だけを添えた遺言書が自分の人生最期に遺すべきものだとしたら少し物足りなく、また寂しく感じないでしょうか?
私はこの「遺言事項」の根拠となりうるものとして、また自分が築いた財産を振り返りどのような形で遺すべきなのかを生前にしっかり確認するためにも「付言事項」に自分史的な文言を取り入れることをお勧めしています。記載の義務のない「付言事項」でなくても別に「遺言事項」の根拠としての自分史を作ることだって出来ます。
■自分史は過去だけでなく未来も
自分史は過去のものだけではありません。自分に関する予想された未来も、希望も自分史と言えます。遺言書を記載するのは自分の未来の希望であり、遺言書そのものが自分史となります。自分の過去があっての未来への判断なのですから遺言書に自分史が取り込まれることは自然なことなのです。
遺言書が財産の受け手のトラブル防止のためだけの存在から遺言書を遺した本人が主役であることを明確にするのが自分史を活用した遺言書であり、最終的には太陽のように相続人の心を動かすものとなるのです。
つるま行政書士事務所
自分史・エンディングノート・遺言・相続
馬場敦先生は町田市鶴間に事務所を構えていて、地域密着、個人密着をモットーに活動されています。法的な遺言書の有効性を高めるために自分史やエンディングノートを活用して、家族に想いを伝えるトータルメモリーサポート事業をおこなっています。主に、自分史・遺言書作成で連携させて頂いております。⇒回顧録チラシ
<自分史の記事一覧>
■Vol.1 高齢者と自分史 ■Vol.2 意外に身近な自分史 ■Vol.3 自分史を書くこと ■Vol.4 8月7日は『自分史の日』~自分史フェスティバル2013~ ■Vol.5 自分史フェスティバル2013を終えて~①展示ブース編~ ■Vol.6 自分史フェスティバル2013を終えて~②ホール公演・セミナー編~ ■Vol.7 自分史の効果・効用 ■Vol.8 自分史活用アドバイザー奮闘記 ■Vol.9 自分史の作り方 ■Vol.10 自分史年表を利用する ■Vol.11 親の自分史・家族史① ■Vol.12 親の自分史・家族史② ■Vol.13 自分史と回想療法 ■Vol.14 自分史とエンディングノート ■Vol.15 自分史活用アドバイザーとは ■Vol.16 自分史活用推進協議会とは ■Vol.17 自分史の歴史 ■Vol.18 自分史活用術 ■Vol.19 自分史の否定的な考え方 ■Vol.20 映画『四十九日のレシピ』からみる自分史 ■Vol.21 なぜ自分史活用アドバイザーになったか ■Vol.22 戦争体験と自分史 ■Vol.23 地域史と自分史 ■Vol.24 自分史の2013年総括 ■Vol.25 自分史のもとになるジブン手帳 ■Vol.26 自分史は実践あるのみ ■Vol.27 自分史関連のサイトの紹介 ■Vol.28 自分史活用アドバイザー認定講座について ■Vol.29 自分史の普及・認知活動 ■Vol.30 自分で書く場合・人に書いてもらう場合 ■Vol.31 コミュニケーションツールとしての自分史活用 ■Vol.32 自分史で本の出版をする ■Vol.33 自分史フェスティバル2014 ■Vol.34 終活における自分史の役割 ■Vol.35 自分史に関連した被害について ■Vol.36 自分史と写真 ■Vol.37 イベント別自分史作成法 ■Vol.38 日本自分史センターについて ■Vol.39 自分史と著作権 ■Vol.40 自分史フェスティバル2014の詳細固まる ■Vol.41 自分史に似た書物 ■Vol.42 回顧録作成サービスについて ■Vol.43 回顧録作成サービスのQ&A |
相続入門
遺言入門
●遺言入門①(なぜ遺言が必要なのか?) ●遺言入門②(遺言が必要な場合の具体例) ●遺言入門③(遺言とはどのようなものか) ●遺言入門④(遺言の種類・方式) ●遺言入門⑤(公正証書遺言の作り方) ●遺言入門⑥(遺言の執行とは) ●遺言入門⑦(遺言と遺留分) ●遺言入門⑧(遺言の撤回・変更について) ●遺言入門⑨(自筆証書遺言の作り方) ●遺言入門⑩(秘密証書遺言の作り方) |
<ニュース・イベント等>
●テレビ番組 ・NHKのEテレ「団塊スタイル」2013年6月14日金放送:意外な効用!自分史づくり http://www.nhk.or.jp/dankai/bangumi/num062/ ●新聞 ・東京新聞2013年6月12日:お父さんの「自分史」贈ろう 父の日 今年は「モノより思い出」を http://www.tokyo-np.co.jp/article/living/life/CK2013061202000156.html ●自分史年表作成サイト ・Histy http://histy.jp/ ●イベント ・自分史フェスティバル2013(東京・両国の江戸東京博物館 2013年8月7日開催) http://www.jibun-shi-festival.net/ ・自分史フェスティバル2014 http://www.jibun-shi-festival.net/ |
<関連商品・書籍>
自分史作成キット 和装本 自分の歴史を書いてみよう ([バラエティ])
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