~前回~ヘルスケアリートの解説②ヘルスケアリートの導入に向けた取り組み
ヘルスケアリートの解説3回目です。本日は「入居者に対する影響」です。
ヘルスケアリートの概要→ヘルスケアリートの解説①ヘルスケアリート(Health Care REIT)の概要
■有料老人ホームやサ高住の運営背景
ヘルスケアリートの説明の前に、有料老人ホームやサ高住の運営について解説します。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)について、土地建物所有者と運営者は必ずしも一致していません。多くの場合は、土地所有者である地主が自身の費用で有料老人ホームやサ高住を建設し、運営会社がその物件を20年~30年といった単位で一括借り上げをするという方法をとっています。このような方法を取ることで、地主にとっては、運営会社が一括借り上げにより部屋の空室リスクなどを負うため、安定収益となり、運営会社にとっては建設費用や土地取得の費用を負担せずに新規にホームをオープンできるため双方にとって利益があります。
詳細はコチラ→ぷちコラム⑬土地活用と高齢者住宅
■入居者に対する影響
上記で見たように所有者と運営者が異なることも多く、ヘルスケアリートの保有になったからといって、運営者が変わるわけではないため、入居者に直ちに影響を与えるとうことはないかもしれません。ただし、メリット、デメリットがあります。
●入居者のメリット
・ヘルスケアリートは、公開市場からの資金調達を行っているため、投資家に関する情報開示が義務付けられています。よって、施設の経営、サービス状況が開示され、利用者もまたその情報を確認できます。 ・ヘルスケアリートが施設の所有、維持、管理をすることにより、運営会社は自社保有の場合より施設の運営に専念できるようになります。運営に専念できることにより、入居者にとってはサービス向上等につながります。 |
●入居者のデメリット
・ヘルスケアリートが施設を売却した場合は、運営の継続がされる保証がなく、入居者が継続利用できなくなる可能性があります。 ・運営会社(オペレーター)が変更され、サービスの水準が低下する恐れがあります。 ・賃料等の変更により、入居者が負担する賃料や利用料が増加する恐れがあります。 |
■入居者(利用者)に対する配慮
国土交通省のヘルスケアリートのガイドラインで入居者への配慮が必要して、以下のように定めています。
ヘルスケア施設の利用料や提供されるサービスの内容については、入居者にとって特に配慮が必要な事項であり、入居契約書等で定められた利用料の改定等のルールを逸脱して一方的な利用料の引き上げやサービス水準の低下を引き起こすことのないよう、ヘルスケア施設の運営にあたっては十分に留意することが求められている。これを踏まえ、資産運用会社は、リートの運用対象としてヘルスケア施設の取引を行う場合、利用者に不安を抱かせることのないよう、以下の a.から c.までの内容について、適切に対応することが望ましい。
a.ヘルスケアリートの仕組みの周知
オペレータが利用者にヘルスケアリートの仕組み(例えば、①施設の大家はリートであり、施設のサービスはオペレータが提供していること、②リートは運用対象施設を長期保有することが原則であること等)並びにリート等の実績及び取組み等を十分に周知させるよう、資産運用会社はオペレータに働きかけ、必要に応じて資産運用会社自らも利用者に周知活動を行うこと。
b.ヘルスケア施設の適切な運営の確認
資産運用会社は、利用者の安心感を確保するため、施設の状態、利用料及び契約内容等について、関係法令に適合しているものであるかどうかの確認や、地方公共団体による通知等への対応状況の確認などを行うこと。 特に有料老人ホーム(サービス付き高齢者向け住宅の登録を受けたものを除く。)に
ついては、「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」(平成14年7月18日老発第0718003号厚生労働省老健局長通知)を参考に、地方公共団体が地域の実情に応じた指導指針を策定し、それに基づいた行政指導を行っているので留意すること。
c.ヘルスケア施設の適切な運営の確保
資産運用会社は、利用者の安心感を確保するため、オペレータに対し、利用料及び契約内容等に関して、投資法人とオペレータの賃貸借契約書又はこれに代わる協定書、覚書等において、オペレータがリートの運用対象となるヘルスケア施設に適用される関係法令に適合し、行政指導に対応した運営を行う旨を表明させるよう求めること。
ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
■サ高住入門
~有料老人ホーム入門~
~そのたの記事~