~前回~有料老人ホーム入門⑭(有料老人ホームのショートステイ)
本日は、有料老人ホームが倒産してしまった場合の保全措置について解説します。
<倒産してしまったら>
入居している有料老人ホームが倒産してしまったら、、、、というのが入居者にとって一番のリスクです。
有料老人ホームの運営の大半は民間会社のため、当然倒産リスクが存在します。
有料老人ホームの入居にあたって、高額の入居一時金を払っている場合もありますし、持ち家を売却しており、帰る家がないという場合も多いはずです。しかし有料老人ホームが倒産した場合は、そのホームから出て新たな施設を探さなければなりません。
入居者にとっては、終の棲家にしようと高い入居金を払ったのにも関わらず、倒産により出て行かなくてはならないというのは、たまったものではありません。あらかじめどのような保全措置があるのか、また入居する際にその運営会社は経営的に問題ないかという判断が必要不可欠です。
<保全措置>
平成18年4月以降に有料老人ホームの設置届出が提出された有料老人ホームについては、入居一時金の保全措置が義務付けられています。保全措置とは、ホームが倒産した場合に、入居一時金の未償却部分が返還されない場合、ホームに変わって銀行や損害保険会社、公益社団法人有料老人ホーム協会等が500万円を上限として未償却の金額を支払う制度です。
ここで注意して頂きたいのが、平成18年3月以前に設置届が提出されたホームは、保全に務めることとなっており、努力目標となっています。ですので、平成18年3月以前に届け出がされた有料老人ホームについては、保全措置についてしっかりと確認しましょう。
・保全措置の内容(詳細→厚生労大臣が定める有料老人ホームの開設者等が講ずべき措置
① 銀行等による保全金額に相当する部分の連帯保証) ② 指定格付機関から特定格付が付与された親会社による保全金額に相当する部分の連帯保証 ③ 返還債務の不履行により入居者に生じた損害のうち、保全金額に相当する部分を保険事業者がうめることを約する保証保険 ④ 信託業務を営む金融機関との間において、保全金額について、一時金等を支払った入居者を受益者とする信託契約(元本補てんの契約をしたもの又は信託契約により保全金額に相当する部分が保全されるものに限る。) ⑤ 民法(明治29年法律第89号)第33条により設立された法人との間の保全のための契約で①から④に準ずるものとして都道府県知事が認めるもの |
<公益社団法人有料老人ホーム協会のよる保全措置>
公益社団法人有料老人ホーム協会とは、有料老人ホームを運営している事業者が集い、入居者の保護と事業の健全な発展に努めるため昭和47年に設立された団体です。
公益社団法人有料老人ホーム協会では、入居者生活保証制度というのを設けています。入居者生活保証制度とは、事業者の万一の倒産などにより、ホームから全入居者が退去せざるを得なくなり、かつ入居者から契約が解除された場合に、登録された入居者へ500万円の保証金を協会から支払う制度です。この制度を利用するには、入居者と事業者との間で「入居契約追加特約書」を締結し、事業者より拠出金として、入居者1人あたり20万円(満80歳以上は13万円)を協会に支払う必要があります。登録された入居者には、協会より保証状が発行されます。
この保全制度の最大の特徴は、銀行保証等による保全措置が前払金が全額償却済みとなり、事業者の返還義務がなくなった場合に終了するのに対して、返還金の有無に関わらず、入居中は存続するということです。
つまり、この公益社団法人有料老人ホーム協会の入居者生活保証制度は、入居一時金の償却に関係なく、損害賠償の予定額として一律500万円が保証される制度となっております。
詳細→公益社団法人有料老人ホーム協会の入居者生活保証制度の案内
・補足情報
公益社団法人有料老人ホーム協会への加盟数(平成24年度):660施設/7,562施設(割合8.7%) |
<運営会社の変更>
倒産しなくても、運営会社が買収され、運営会社が変更するということもあります。運営会社が変わると、サービスが変わったりと入居者に不安が募り、好ましくありません。大手に買収されて、逆にサービスが良くなるということもあるかもしれませんが、当初思い描いていた生活と変わってしまいます。運営会社は変わるのは、経営不振による買収が多いと思いますので、入居する前での判断が重要です。
<ファンドによる買収>
最近では投資ファンドが有料老人ホームを取得するケースも増えてきました。
(記事→http://www.koureisha-jutaku.com/news2013/news_13021303.html)
ファンドが有料老人ホームを取得した場合、入居者にとってどのような影響があるかと言うと、影響はあまりないと考えられます。
ファンドが有料老人ホームを取得するケースでは、ホームの運営会社が事業展開するための資金調達の手段として自社保有の有料老人ホームを売却します。ですので、建物は売却しますが、運営は継続されるので入居者にとってはほとんど変化はありませんし、ファンドも原則介護事業には関与しません。ファンドがホームを取得するというのは、投資に採算性があるということですので、そのホームは優良物件と言えるかもしれません。
ですので、ファンドに買われたからと言って焦る必要はありません。
<運営会社の健全性を確かめるには>
運営会社が健全がどうかを判断するのは非常に難しいです。その会社の財務諸表を入手しても、一般の人がそこから経営状況を判断するのは難しいと思います。
1番良いのは、業界に詳しい人に聞くことだと思います。中々詳しい人も周りにいない場合は、私どものような紹介センターで聞くのも手段です。
他の目安としては、空室状況を確認することが挙げられます。一般的に有料老人ホームの損益分岐点は、入居率8割と言われています。ですので、開設して1年以上たって入居率が8割以下だった場合は理由等を確認したほうがよいかもしれません。
その他、ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
次回は有料老人ホーム入門⑯(有料老人ホームと特別養護老人ホームの違い)です。
~有料老人ホーム入門~
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