~前回~ゼロから始める相続税入門(35)非上場株式の評価④『純資産価額方式』
<事業承継>
●事業承継とは
事業承継とは、会社の経営を後継者に引き継ぐことです。中小企業にとっては、経営者の経営能力が存立基盤そのものになっていることが多く、その経営者が「誰を」後継者にするかが重要になってきます。
●誰を後継者にするか
一般的に、「誰を」後継者にするかは、3つ考えられます。
※M&Aと英語の mergers and acquisitionsの略であり企業の合併や買収の総称です。
●後継者の傾向
実際のところ子供を後継者となることが多いです。しかしながら、子供の希望や経営者としての適性を十分考慮して後継者を決定することが望ましいです。20年以上前はほとんどだった親族内の承継は、近年では減ってきており、従業員やM&Aによる承継が増えてきています。
●実際に何を承継するか
事業承継は、現経営者から後継者へ、企業が培ってきた様々な財産を引き継ぐことです。事業承継では、「ヒト」と「資産」にわけられます。
「ヒト」の承継は、事業を継続するために必要な業務知識や経験、人脈、リーダーシップなどの経営ノウハウに加え、現経営者の経営に対する想いや信条、価値観などに基づいた経営理念という無形の財産です。
「資産」の承継は、経営権を確保するために株式を移転が生じるので、タイミングや対策が非常に重要であり、対策をするかしないかで税金が大きく変わります。また多くの中小企業では、経営者の個人資産が投入されていることが多く、経営者による大半の自社株式所有や土地などの個人資産を事業に供しているなど、企業の所有権と経営権の分離が困難なケースが多くあります。
●事業承継はどのくらいかかる?
事業を引き継ぐ際には「取引先や金融機関との関係を維持する」などで苦労されるケースは多く、引き継ぎ期間として5~10年必要と考える経営者は多いようです。
<事業承継で準備すること>
<経営者が整理すること>
●保有している自社株式
株が分散している場合は、自己の持分を後継者に引き継いでも、経営権の譲渡にならない可能性があるため、きちんと把握しておく必要があります。
●個人資産の評価額
個人資産の評価は、帳簿価額ではなく、時価ベースになるため、必要であれば専門家に財産評価を事前に依頼した方が良いでしょう。
●個人名義の負債
金融機関からの借り入れだけでなく、個人の借入の保証人なども明らかにしておきましょう。
●引退年齢と引退後の人生設計
引退する年齢を決めないとその後に必要な資金確保の目標が設定できません。
<会社について整理すること>
●従業員の構成等
会社にとって重要なポストの方については、残ってサポートしてもらうかどうか方向性だけでも決めておく必要があります。
●事業用資産の評価額
個人と同様時価ベースでの評価額を把握しておくべきです。
●負債の状況
金融機関との関係は、事業承継における大きな課題です。
●将来のキャッシュフロー
役員退職金や株が分散している場合の買取資金など、将来どれだけの資金が必要かなどをしっかりと検討しておく必要があります。
●自社の競争力や将来性
先代の成功分野やずっと続くとも限りません。承継にあたり、自社の競争力などをしっかりと分析する必要があります。
気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
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