~前回~認知症の基礎知識Vol.33(問題行動の原因と対処法⑰ゴミを拾ってくる)
本日は、認知症に関する国の対策について解説させて頂きます。
■オレンジプランとは
オレンジプランとは、2012年9月に厚生労働省が発表した『認知症5ヵ年計画』の通称です。2013年度から2017年度までの5年の計画であり、すでにスタートされています。名前の由来は、以前に解説させてもらった認知症のサポーターがつけているオレンジリングに由来しています。
<追記 2015年1月31日>
政府は2015年1月27日、首相官邸で認知症対策を協議する関係閣僚会議で、省庁横断で取り組む総合戦略を決めました。新戦略は「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」。
→認知症の基礎知識Vol.42(新オレンジプランとは)
■7つの目標
オレンジプランでは以下の7つの項目について目標が定められています。
1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及 2.早期診断・早期対応 3.地域での生活を支える医療サービスの構築 4.地域での生活を支える介護サービスの構築 5.地域での日常生活・家族の支援の強化 6.若年性認知症施策の強化 7.医療・介護サービスを担う人材の育成 |
1.標準的な認知症ケアパスの作成・普及
「認知症ケアパス」とは状態に応じた適切なサービス提供のことです。地域行政が中心となり、まずは地域資源のマップを作成し、認知症のステージごとに時間軸にあわせて、連携関係を構築することが必要です
計画年度 |
内容 |
---|---|
2012年~2013年度 |
調査・研究を実施 |
2013年~2014年度 |
各市町村において、「認知症ケアパス」の作成を推進 |
2014年~ |
介護保険事業計画(市町村)に反映 |
2.早期診断・早期対応
■かかりつけ医の認知症対応向上研修
認知症は進行してから受診する人が多く、対応が遅れることが多いです。そこで、かかりつけ医を受診した段階で対応できるよう、医師に対し、「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を実施します。
2012年度末 2,500人→2017年度末 4,000人(目標)
■早期診断を行う医療機関数の増加
2019年度までに認知症の早期診断等を行う医療機関を、約 500か所整備します。
■「認知症初期集中支援チーム」を設置
地域包括支援センター等に配置し、看護師や保健師が認知症の人や家族の生活の状況を聴取し、予想される症状の説明や生活上のアドバイスを行います。
計画年度 |
内容 |
---|---|
2012年度 |
モデル事業のスキームを検討 |
2013年度 |
全国10か所程度でモデル事業を実施 |
2014年度 |
全国20か所程度でモデル事業を実施 |
2015年度以降 |
全国普及のための制度化を検討 |
■「地域ケア会議」の普及・定着
地域包括支援センターで運営される多職種協働で実施される会議です。認知症の人の支援を行う機関や団体の代表者が互いに連携し、支援を強化したり改善したりするために行います。
計画年度 |
内容 |
---|---|
2012年度 |
「地域ケア会議運営マニュアル」作成、「地域ケア多職種協働推進等事業」による「地域ケア会議」の推進 |
2015年度以降 |
すべての市町村で実施 |
3.地域での生活を支える医療サービスの構築
■「認知症の薬物治療に関するガイドライン」の策定
薬物での治療を行う方法やルールなどを作ります。
■精神科病院に入院が必要な状態像の明確化
精神科病院への入院が必要な場合について、状態はどのようなものか、調査や研究を行って明確にします。
■「退院支援・地域連携クリティカルパス(退院に向けての診療計画)」の作成
精神科病院から退院して在宅への復帰が円滑に行えるよう支援するためクリティカルパス(退院に向けての診療計画)を作成します。
計画年度 |
内容 |
---|---|
2012年度 |
クリティカルパスの作成 |
2013年~2014年度 |
医療従事者向けの研修会等を通じて普及。退院見込者に必要となる介護サービスの整備を介護保険事業計画に反映する方法を検討。 |
2015年度以降 |
介護保険事業計画に反映 |
4.地域での生活を支える介護サービスの構築
認知症の人が住み慣れた地域で生活を続けることができるために必要な介護サービスの整備を行います。
■在宅サービス ・小規模多機能型居宅介護→介護保険のしくみVol.24(地域密着サービス④小規模多機能型居宅介護 ) ・定期巡回・随時対応型サービス→定期巡回・随時対応型サービス ■居住系サービス 特定施設入居者生活介護→介護保険のしくみVol.20(居宅サービス⑪特定施設入居者生活介護) 認知症対応型共同生活介護→介護保険のしくみVol.26(地域密着サービス⑥認知症対応型共同生活介護) |
5.地域での日常生活・家族の支援の強化
認知症の人が地域で生活しやすように、家族も含めて支援を強化します。
支援強化 |
2012年度末 |
2017年度末 |
---|---|---|
認知症地域支援推進員の人数 |
175人 |
700人 |
認知症サポーターの人数(累計) |
350万人 |
600万人 |
市民後見人の育成・支援組織の体制を整備している市町村数 |
40市町村 |
約 1,700市町村(将来的) |
■認知症カフェ
上記の他、認知症の人や家族、支援する人達が参加して話し合い、情報交換等を行う場を普及させます。経験者の話を聞いたり、悩みを打ち明けたりできる機会を設けて支援するものです。
6.若年性認知症施策の強化
早期に若年性認知症の診断や治療が受けられるよう医療面を充実させます。また介護も適切に活用できるよう支援します。
支援のためのハンドブックも作成し、医療機関、市町村窓口等で若年性認知症と診断された人とその家族に配付します。
7.医療・介護サービスを担う人材の育成
■「認知症ライフサポートモデル」(認知症ケアモデル)の策定
認知症ライフサポートモデル(認知症ケアモデル)を作り上げます。医療や介護も含む全ての面を総合した、認知症の人への生活支援のことであり、それぞれの役割を持つ人達が支援の目的や目標を共有します。
支援強化 |
2012年度末 |
2017年年度末 |
---|---|---|
認知症介護実践リーダー研修の受講者数(累計) |
2.6万人 |
4万人 |
認知症介護指導者養成研修の受講者数(累計) |
1,600人 |
2,200人 |
一般病院勤務の医療従事者に対する認知症対応力向上研修の受講者数(累計) |
新規(0人) |
87,00人 |
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
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