~前回~認知症の基礎知識Vol.1(認知症とは)
前回は認知症の概略を説明させていただきました。本日は、認知症の中でも最も多くを占めていますアルツハイマー型認知症の解説をさせて頂きます。
<アルツハイマー型認知症とは>
●アルツハイマー型認知症とは
認知症患者の半数以上がアルツハイマー型と言われています。この病気は、脳内で特殊なたんぱく質異常が起こり、脳内のニューロン・シナプスが脱落していきます。脳内の神経細胞はどんどん壊れ、脳が次第に萎縮していき、知能、身体機能が衰えていきます。
●原因
原因は現在でもわかっていませんが、有力な説としては脳の中のアミロイドβタンパク原因説というものがあります。βタンパクとは、脳細胞の活動の結果出されるものです。通常は酵素によって掃除されますが、なんらかの要因で酵素が減るとβタンパクがたまります。茶色いシミのように見えるために老人斑とも呼ばれ、アルツハイマー病患者の脳に多いのが特徴です。
βタンパクは、記憶を担当する海馬に作用しだんだんと脳全体を侵します。アルツハイマー病患者の脳波、老人斑が広がり、空洞が増え、萎縮します。ただし、老人斑が見られ、脳の委縮が見られても発病しない人も多いです。
●特徴とは
アルツハイマー型認知症の発症と進行は比較的緩やかです。多くの場合は、物忘れから始まり、時間、場所、人の見当がつかなくなります。やがて、言語の障害が始まると様々な混乱が生じます。物忘れは、病気の進行とともに「最近のこと」から、「昔のこと」に変化していきます。
●介護面では
介護の側面から見ますと、集団生活になじみやすいため、デイサービスなども利用しやすく、なじみの場所や、友達と過ごすことで心が安定する傾向にあります。
●その他
アルツハイマー病は高齢になるほどかかりやすいため、平均寿命の長い女性の患者の方が多いです。進行の過程は人ぞれぞれですが、記憶障害から始まり、寝たきりになるのは同じです。統計的には発病から約8年で最期を迎えます。衰えた海馬細胞を活性化して進行を遅らせる薬なども開発されています。
<アルツハイマー型認知症の進行の過程>
時期 |
進行 |
症状 |
発症前 |
20年くらい前から、アミロイドβタンパクがたまりはじまります。 |
- |
軽度 |
記憶を分担する海馬から左右対称にゆっくりと脳細胞が侵されていきます。 |
記憶障害(物忘れ) |
中度~重度 |
溝などの空間があちらこちらにでき、脳全体も萎縮していきます。 |
判断能力の低下、暴言、徘徊、幻覚 |
終末期 |
脳の萎縮が進み、生命活動の維持ができなくなります。 |
寝たきり |
<アルツハイマー型認知症の3つの予防方法>
予防法 |
説明 |
運動をする |
適度な運動をしている人は、してない人に比べてアルツハイマー病になる危険度が3分の1になると言われています。ちょっと汗ばむ程度の運動を週に何度がするように心がけましょう。 |
コミュニケーションで脳を活性化 |
家族や友人との接触が多い人は、アルツハイマー病になりにくいと言われています。これは会話が脳を活性化するからだと考えられます。 |
生活習慣病予防 |
高血圧、高コレステロール、肥満が見られる人はアルツハイマー病になりやすいと言われています。これらは、生活習慣病の中でも脳血管障害の原因ともなるからです。数値が高いひとは食生活に気をつける必要があります。 |
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
次回は認知症の基礎知識Vol.3(脳血管障害型認知症の特徴)です。
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