~前回~認知症の基礎知識Vol.34(オレンジプラン【認知症推進5ヵ年計画】とは)
最近「認知症の行方不明者は1万人超」というニュースを目にした方も多いかと思います。このようなことから、厚生労働省は情報を身元不明の認知症高齢者の情報を公表するため2014年8月5日に『身元不明の認知症高齢者等に関する特設サイト』の設置をしました。
■特設サイトの概要
●概要
身元不明の認知症高齢者等について探すための個人情報を本人以外の者に提供することが明らかに本人の利益になるときは、同意が得られなくても自ら当該情報を利用または提供を行うことができる旨の個人情報保護条例の規定に基づいて、一部の地方自治体のホームページ上で情報公開を行う取組が行われています。
そうした中で厚生労働省では都道府県を越えて詮索ができるよう地方自治体のHPで身元不明の認知症高齢者等に関する情報公開を行っている場合、お探しの方がすぐにアクセスできるように、自治体の該当ページのリンクの一覧を掲載した特設サイトを設置しました。
・特設サイト→行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ(厚生労働省)
●現状(2014年8月15日)
サイトでは千葉県と静岡県の自治体の認知症身元不明者のページにアクセスできるようになっています。しかしまだ情報を公表している都道府県は千葉と静岡しかなく、厚生労働省は積極的に公開するよう全国に通知しています。
●どのような情報が掲載されているか
掲載情報は、写真や保護された時の情報が詳しく掲載されています。
【例】
No. |
市町名 |
身元不明者概要 |
保護年月 |
入所施設 |
保護経緯/身元手がかり等 |
写真 |
|
---|---|---|---|---|---|---|---|
性別/推定年齢 |
認知症有無 |
||||||
1 |
○○市 |
男性/70代 |
有 |
H22.11 |
特別養護老人ホーム |
○○駅で保護。昭和○○年○月○日生まれ(自称) |
公開 |
■特設サイトの設置の背景
大きなきっかけとなったのは5月11日放送のNHKスペシャルです。事件でも事故でもないため情報が公開されず、埋もれ続けてきた認知症の行方不明者、全国各地の警察や自治体、家族などへの取材を基に、認知症の行方不明者の実態と全体像を明らかにするという内容でした。
番組では、2007年に群馬県館林市で保護されたが7年間も身元が分からない「ヤナギダさん」という女性が紹介されました。身元の特定につながりそうな手がかりあったものの、警察等へのシステム照合しても特定できないままでしたが、NHKの放送がきっかけでご家族と再会することができました。(7年ぶりに夫の再開)
このような報道がきっかけとなり、警察庁は「認知症による身元不名者・行方不明者」について初めてデータを発表し、身元確認紹介システムなどの運用を見直すという形になりました。
■今後について
●警察
警察が保護した人の写真を全国の警察本部や警察署に備え付け、行方不明者の家族らが閲覧できる仕組みを導入するよう、各都道府県警に指示しました。
認知症に係る行方不明者発見活動の推進について – 警察庁 2014年6月5日
●自治体
多くの自治体は、個人情報保護条例の規定などを理由に、身元不明者の顔写真などを非公表としたままであり、上記で説明したように千葉県と静岡県のみが公表しています。厚生労働省は公開事例を示すことで他の自治体にも検討を促している状況です。
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
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