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~前回~認知症の基礎知識Vol.11(認知症サポーターキャラバンとは)
<介護認定の流れ>
介護保険を申請すると、市区町村の認定調査員が自宅や病院・施設を訪問し、現在受けているサービスや本人の希望、家族の状況などの概況調査と、「身体機能、生活機能、認知機能、精神と行動の障害、社会生活への対応、日常生活の自立度」などの基本調査を行います。
詳細⇒介護保険のしくみVol.2(介護保険申請から要介護認定までの流れ)
<認知症の人が介護認定を受ける際の留意点>
認知症の場合は、身近な人には症状が出るが、他人には出ないなど症状の表れ方が一定でないため、訪問調査の日の体調次第では、要介護の程度が低いと判定されてしまう場合もあります。このような実際と異なる判断をされるのを防ぐためにも、日々の介護の様子を記録し、調査員に見てもらうと良いかもしれません。
判定された認定区分に不満があるときは、市区町村の窓口に連絡し、それでも解決しない場合は、都道府県の介護保険審査会に再審査の請求をします。
■介護記録にメモするポイント
□起床時間・就寝時間とその状況 □食事のメニュー・量と食べ方 □排尿・排便の回数と量 □日常生活でできなくなったこと □記憶力・思考力の衰え □問題行動と思うこと □理解できない行動 など |
■訪問調査の主な項目
□麻痺の部分、関節の動く範囲 □日常動作の状態 寝返り、起き上がり、歩行、立ち上がりなど □症状の程度 褥瘡の有無、嚥下機能、尿意、便意など □介助の様子 尿意後の後始末、食事の摂取、衣服の着脱など □身体能力 視力、聴力、意思伝達など □精神・行動障害などの有無 被害妄想、作り話、幻覚など □過去14日間に受けた医療 □日常生活の自立度など |
<認知症だけでも介護認定されるか>
認知症だけでも介護認定は取れます。体がお元気であっても、認知症があることで日常生活を送る上で何らかの問題があったり困難さが発生している場合は、体が思うように動かず介護が必要な場合と同じように生活上介護が必要となるからです。
<認知症と介護度の目安>
区分 |
状態の目安 |
認知症の程度 |
自立 |
自立と判断され、身の回りの世話が必要ないとされる状態。 |
- |
要支援1 |
基本的な日常生活の能力はあるが、身の回りの世話に一部介助が必要。 |
症状があっても、日常生活に支障がない。 |
要支援2 |
立ち上がりや歩行などがやや不安定で、入浴などで一部介助が必要。 |
物忘れがあってもほとんどの場合、生活に大きな支障がない。 |
要介護1 |
立ち上がりや歩行が不安定。排泄、入浴などで部分的に介助が必要。 |
物忘れや思考、感情などの障害により十分な説明を行ってもなお、介護予防サービスの利用に対して適切な理解が困難。 |
要介護2 |
立ち上がりや歩行などが自力では困難。排泄、入浴、衣類の着脱などで介助が必要。 |
日課や直前に何をしていたのかが部分的にわからないため、生活に支障をきたす。他人とのスムーズな対応が困難。 |
要介護3 |
立ち上がりや歩行などが自分ではできない。排泄、入浴、衣類の着脱などで全体的な介助が必要。 |
生年月日や自分の名前などがわからなくなる。着替えなど自分の身の回りのことができなくなってくる。 |
要介護4 |
排泄、入浴、衣類の着脱などの日常生活に全面的に介助が必要。 |
常に意思疎通が困難となる。日常生活に支障をきたす行動が頻繁に見られる。 |
要介護5 |
寝たきり状態。日常生活全般に全面的な介助が必要。 |
理解が全般的に低下している。 |
認知症高齢者の状態を表すものに「認知症の日常生活自立度」というものもあります。
ランク |
判定基準 |
|
Ⅰ |
何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している。 |
|
Ⅱ |
日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる。 |
|
Ⅱa |
家庭外で上記の状態が見られる。たびたび道に迷うとか、買物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つ等 |
|
Ⅱb |
家庭内でも上記の状態が見られる。服薬管理ができない、電話の応対や訪問者との対応など一人で留守番ができない等 |
|
Ⅲ |
日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが見られ、介護を必要とする。 |
|
Ⅲa |
日中を中心として上記の状態が見られる。着替え、食事、排便・排尿が上手にできない・時間がかかる。やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声を上げる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為など |
|
Ⅲb |
夜間を中心として上記の状態が見られる。症状、行動はⅢaと同じ。 |
|
Ⅳ |
日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする。症状、行動はⅢと同じ。 |
|
M |
著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする。せん妄、妄想、興奮、自傷・他害等の精神症状や精神症状に起因する問題行動が継続する状態等。 |
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
次回は認知症の基礎知識Vol.13(認知症の症状が強く出る原因を理解する)です。
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