先日伺った杉並区の介護付有料老人ホームでは、認知症予防に対する取り組みがとても先進的で、ユマニチュード、シナプソロジー、ユ、ストレスホルモン軽減という3つのアプローチによるケアを実施しているということでした。
そこで今回はユマニチュードについて解説したいと思います。
見学レポート(84)東京都杉並区(荻窪)の介護付有料老人ホーム(家具付・認知症予防に強い)
■ユマニチュードとは
●ユマニチュードに関する書籍
こちらの本が大きな本屋さんに行くと目立つところに置いてあります。それだけ注目度の高いものです。
- 著: 本田 美和子 , 他
- 出版社: 医学書院
- 発売日: 2014/06/09
- 定価: ¥2,160
- ジャンル: Book
- メディア: 単行本
- Amazon.co.jpで詳細を見る
●ユマニチュードとは
ユマニチュードとは、フランスのイヴ・ジネス氏とロゼット・マレスコッティの2人によって作り出された知覚・感情・言語による包括的コミュニケーションにもとづいたケアの技法です。2人は、もともと体育学の教師でしたが、医療及び介護の分野に足を踏み入れ、35年にわたりケア実施が困難だと言われる人々を対象にケアを行ってきました。彼らは「生きている者は動く。動くものは生きる。」という文化と思想のもと、「人間は死ぬまで立って歩くことができる」を提唱し、その経験から生まれたのがユマニチュードというケアの技法でした。
●ユマニチュードの4つの柱
ユマニチュードには4つの基本的な柱があります。それは、「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つです。本来当たり前の人間的なコミュニケーションを意識的、理論的に実践するのです。
■4つの柱
●見る
見るという行為には、ポジティブなメッセージとネガティブなメッセージに大別されます。
ポジティブなメッセージ:水平の高さ、正面の位置、時間的に長く→信頼、親密さ、友情などの証
ネガティブなメッセージ:上から、横から、遠くから、時間的に短く→支配、見下し、恐れ、自身のなさ
ユマニチュードにおいて、視線を掴みに行くことが大事であり、対象者が壁の方向を見ていたら、ベッドを動かしてでも患者さんの向いているところに視線を合わせることが重要です。
●話す
話すという行動もポジティブな関係やネガティブな関係があります。
ポジティブな関係:トーンは優しく、歌うように、穏やか。
ネガティブな関係:トーンが高くなり、叫びにちかい、激しい口調。
最も悪いことは、相手を無視して話かけないことです。話かけないことは、相手が存在していないというメッセージを発信していることになるからです。
反応のない人へのアプローチは、自分が行っているケアの様子を言葉にしたりすることが大事です。
●触れる
触れるという行動もポジティブな触れ方やネガティブな触れ方があります。
ポジティブな触れ方:広く、柔らかく、ゆっくり、なでるように、包み込むように→優しさ、喜び、慈愛、信頼
ネガティブな触れ方:粗暴、速く、小さく、強く→怒り、葛藤
ユマニチュードにおける触れ方は、広い面積で、ゆっくり、優しくです。移動に際しては、10歳の子供以上の力を使うことなく、体の部分を動かす際には、5歳の子供以上の力を使いません。
●立つ
立つことは、人間の尊厳としての側面も強く非常に重要です。本来立つことはできるのに寝たままのケアを受けている人は多いです。寝たまま行っている保清ケアを、立ってケアすることができれば大きくかわります。40秒間立つことができれば、立位を含んだケアができます。
ご不明点や詳細については、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ) 03‐5201‐3645)
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