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介護保険のしくみVol.36(お手盛り介護の現状について)

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~前回~介護保険のしくみVol.35(介護保険以外のサービスを検討する)

2014年2月18日の朝日新聞の一面の記事に『高齢者施設 お手盛り介護 ケアマネ資格取り消しも』という記事が掲載されていました。とても興味深い内容でしたので、記事の内容の要約と新聞記事には記載されていない現状も解説させて頂きます。

<記事の要約>
■お手盛り介護サービスとは
高齢者が入る施設で、必要のない介護サービスをケアマネジャーが施設などの意向にそって「ケアプラン」に組み込み、介護報酬を増やす(限度額まで使う)ことです。
限度額とは、介護保険で定められている介護度(要支援1~要介護5)に応じた利用限度額です。

■「歌ばかり歌わされて嫌で嫌で」
記事の中では、中野区の有料老人ホームに入居している92歳の男性のケースをあげています。
こちらの男性は、週に6日、朝9時半から夕方4時までの7時間のデイサービスが入っており、毎日夕方になると疲れ果ててしまっていたそうです。そのデイサービスの内容は、童謡を歌ったり、風船を突くゲームなど、本人が望まないサービスでした。男性は要介護4だったので、自己負担が毎月限度額の3万3千円となっていました。まもなく別のホームに転居してデイサービスを利用しなくなると、請求額が1/10以下になったということです。
当初のケアプランを作ったケアマネジャーは、男性の家族にも会わず男性の要望も聞かず、ホームからはなるべくつけるようにと言われていたようです。

■ケアマネ資格の取り消し
朝日新聞の調べによると、この6年で全国で介護報酬の不正請求(架空サービスの請求、ケアプランの水増し)をしたとして50人のケアマネジャーの資格が取り消されています。50人のうち、31人は自ら主導したとしており、11人は施設などに強要されたということです。
2面の記事の「ケアマネ 施設の縛り」では、施設の意向に沿わないプランを立てるケアマネジャーは担当を外されるといった実情も解説されています。

■記事の補足説明
この記事で言われている高齢者施設とは、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(特定施設以外)、無届け施設、などになります。
もちろん、全ての高齢者施設がこのような悪質なお手盛り介護を行っているわけではありません。
また、介護保険3施設と言われている①特別養護老人ホーム(特養)、②介護老人保健施設(老健)、③介護療養型医療施設と、介護付有料老人ホームと特定施設のサービス付き高齢者向け賃貸住宅は、介護度に応じて定額でサービスを利用することができるため、お手盛り介護という問題は発生しません。

<介護費用の現状>
■デイサービス併設の施設の現状
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅でデイサービスを併設している施設では、運営事業者はできれば併設のデイサービスを利用して欲しいと思っていることが多いです。それは、賃貸収入として得られる月額料金(家賃や食費)よりも介護報酬で得られる収入がとても大きいからです。限度額まで利用すると1人あたり要支援1でも約5万円、要介護5ですと35万円が事業者の収入になります。
住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅は、どこのサービス事業者を利用しても良いことになっています。しかし、中には併設のデイサービスを利用していただけないと入居は厳しいというお話をうかがったこともあります。

■デイサービス併設の難しいところ
デイサービスが施設に併設されていると、車での送り迎えが不要なため、安く利用できるというメリットがありますが、利用者にとって難しい点もあります。それは、お昼を食べたあとに、自分のお部屋がすぐ近くにあるので、部屋で横になって休みたいですとか、部屋に帰ってゆっくりしたいと思われる方もいらっしゃいますが、7時間とケアプランで決められていますと、お部屋には戻れずそこで夕方まで過ごさなければいけないといったことです。
以前私が見学に伺ったデイサービス併設のサービス付き高齢者向け住宅では、むしろ併設のデイサービスは利用しないで欲しいと言われました。理由を聞くと、わざわざ併設のデイサービスを利用せずとも、同様のサービスをサービス付き高齢者向け住宅で提供しているからということでした。それはとても良いことではないかと思います。

見学レポート(26)千葉県船橋市のサービス付き高齢者向け住宅

■施設の持ち出し費用について
上記のようなお手盛り介護という現状がある一方で、住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅では、限度額があるので、それを超えた部分を実質施設が負担しているところもあります。
介護度があがり、要介護4、5になりますと身体介助の回数が増えてきます。そうしますとケアプランを作った際に、介護保険限度額の範囲で収めるのは大変厳しいです。しかし、限度額を超えた部分は10割負担となりますので、利用者の負担が重くなることから、施設側が持ち出しとしてサービス提供している場合もあります。他には、パック料金やオプション料金などで限度額を超えた部分をカバーしている事業者もあります。

■その他
以前に、ある住宅型有料老人ホームの施設長さんに伺った話では、介護保険の限度額まで利用すると監査などが厳しいため、本当に必要でも限度額いっぱいまでケアプランを作れないとうことでした。内部のケアマネジャーだと厳しいので、すべて外部のケアマネジャーを使うようにしたということでした。


ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)

次回は介護保険のしくみVol.37(お泊りデイサービス解説と実情)です。

■介護保険関連の記事

介護保険のしくみ(まとめ)
介護保険のしくみVol.1(概要)
介護保険のしくみVol.2(介護保険申請から要介護認定までの流れ
介護保険のしくみVol.3(要支援・要介護のめやすと支給限度額について)
介護保険のしくみVol.4(被保険者の保険料について)
介護保険のしくみVol.5(介護保険料の滞納について)
介護保険のしくみVol.6(上乗せサービス・横出しサービスとは)
介護保険のしくみVol.7(介護保険の単位と地域単価)
介護保険のしくみVol.8(介護サービスの種類)
介護保険のしくみVol.31(要介護・要支援のサービスの違い)
介護保険のしくみVol.32(支給限度額でどのくらいのサービスを利用できるか)
介護保険のしくみVol.33(介護費用の加算・減算とは)
介護保険のしくみVol.34(ケアマネジャー【介護支援専門員】の役割とは)

■介護サービスの種類
介護サービスの詳細は以下の各ページを参照下さい。☆がついているサービスは定額料金で利用できるサービスです
居宅サービス 地域密着サービス 施設サービス
訪問介護 定期巡回・随時対応型訪問介護 介護老人福祉施設(特養)
訪問入浴介護 夜間対応型訪問介護 介護老人保健施設
訪問看護 認知症対応型通所介護 介護療養型医療施設
訪問リハビリテーション 小規模多機能型居宅介護 居宅介護支援
居宅療養管理指導 複合型サービス 住宅の改修
通所介護 認知症対応型共同生活介護 福祉用具の購入
通所リバビリテーション 地域密着型特定施設入居者生活介護
短期入所生活介護 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
短期入所療養介護
福祉用具貸与
特定施設入居者生活介護

■高齢者施設の解説
介護保険3施設公的な低額施設・住宅民間運営施設
特別養護老人ホーム養護老人ホームグループホーム
介護老人保健施設軽費老人ホーム(A型・B型)有料老人ホーム
介護療養型医療施設都市型軽費老人ホームサービス付き高齢者向け住宅
ケアハウス東京シニア円滑入居賃貸住宅
シルバーハウジング地域優良賃貸住宅
シニア向けマンション(分譲)

■ 高齢者住宅仲介センター日本橋店6つの特徴

✔一都三県(東京・神奈川・埼玉・千葉)に特化)
実際にこの目で見た施設・住宅をご紹介できるようにしております。
✔低価格帯の施設もご用意
生活保護を受給されている方でも受入可能な施設・住宅もご用意いたします。
✔24時間医療対応の施設
胃瘻・気管切開・夜間吸引等の24時間医療対応の施設・住宅もご紹介できます。
✔認知症の方も安心
認知症ケアの環境が整った施設・住宅をご紹介します。
✔自立の方向けの施設
自立されている方でいまの生活に不安がある方へのご紹介が可能です。
✔ご夫婦での入居
ご夫婦で入居できる施設・住宅を探している方をサポートいたします。

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