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高齢者施設についてというページで各高齢者住宅・施設の解説をしていますが、説明不足の点もありますので、ひとつひとつ詳細を解説したいと思います。
■高齢者施設・住宅
高齢者施設・住宅というと、多くの方が特別養護老人ホームと、有料老人ホームを思い浮かべると思います。しかし実際には、下記の表の通り多くの種類があります。今回はその中でも『介護老人保健施設(ろうけん)』について詳しく解説します。
介護保険3施設 | 公的な低額施設・住宅 | 民間運営施設 |
①特別養護老人ホーム | ④養護老人ホーム | ⑨グループホーム |
②介護老人保健施設 | ⑤軽費老人ホーム(A型・B型) | ⑩有料老人ホーム |
③介護療養型医療施設 | ⑥都市型軽費老人ホーム | ⑪サービス付き高齢者向け住宅 |
⑦ケアハウス | ⑫東京シニア円滑入居賃貸住宅 | |
⑧シルバーハウジング | ⑬地域優良賃貸住宅 | |
⑭シニア向けマンション(分譲) |
介護老人保健施設ホームの解説
■概要
定義 | 介護老人保健施設とは、要介護者に対し施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理下での介護、機能訓練、必要な医療、日常生活上の世話を行う施設です。 |
基本的な性格 | 要介護高齢者が在宅復帰を目指すリハビリテーション施設 |
事業主体 | 社会福祉法人・医療法人 |
施設数(定員) | 約3,500ヶ所(約32万人) |
入居対象者 | 要介護1以上(病状が安定していて入院や治療の必要がない方) |
平均在所日数 | 277.6日(厚生労働省調べ平成20年10月) |
平均要介護度 | 3.32(厚生労働省調べ平成22年10月) |
■設備面
居室の種類 | 従来型多床室(相部屋)・従来型個室・ユニット型準個室・ユニット型個室 | |
ユニット型 | 面積/1人 | 10.65㎡以上 |
定員 | 原則個室 | |
従来型 | 面積/1人 | 8㎡以上 |
定員 | 4人以下 | |
食堂 | 入所定員×2㎡以上 |
■サービス面
介護サービス | 介護保険施設 |
医師※ | 常勤1人以上(100:1以上) |
看護職員・介護職員 | 3:1以上 |
作業療法士(PT)・理学療法士(OT) | PT又はOTが100:1以上 |
機能訓練指導員 | ‐ |
生活相談員 | 100:1以上 |
介護支援専門員 | 常勤1人以上、100:1を標準 |
■医療面
医療面については、介護老人保健施設は病院を退院した人の受け皿としての役割が強いため、特別養護老人ホームと比べても充実しています。したがって、痰の吸引、胃瘻、経管栄養、在宅酸素等の方でも入所が可能です。ですので、老健の位置づけは病院と自宅との中間の役割を言えます。
■月額目安
介護老人保健施設については、比較的低額で入所できるというイメージがあるかと思いますが、それは多床室の場合です。個室の場合は、施設によってまちまちですが、ある程度の費用がかかることになります。
■入居一時金:不要
■介護保険の自己負担目安(1ヶ月)
介護度 | 従来型多床室 | 従来型個室 | ユニット型準個室・個室 |
要介護1 | 23,580円 | 21,300円 | 23,670円 |
要介護2 | 25,020円 | 22,710円 | 25,080円 |
要介護3 | 26,910円 | 24,600円 | 27,000円 |
要介護4 | 28,500円 | 26,160円 | 28,590円 |
要介護5 | 30,090円 | 27,750円 | 30,180円 |
■月額目安
介護度 | 従来型多床室 | 従来型個室 | ユニット型準個室・個室 |
賃料 | 約1万円 | 約3.5万 | 5万円~15万円 |
食費 | 約4万円~5万円 | ||
介護保険料 | 約2万~3万円 | ||
合計 | 7万円~9万円 | 9.5万~11.5万円 | 11万~25万円 |
■負担軽減措置
高額介護サービス費の支給と同様に、年金などの所得に応じて段階的に負担限度額が設けられています。市区町村に申請し、「介護保険負担限度額認定書」の交付を受けると1ヶ月の負担は以下のようになります。
所得制限の区分についての知恵袋⑦高額介護サービス費支給制度とは”の記事を参照ください。
●居住費と食費の負担限度額(1ヶ月)
介護度 | 従来型多床室 | 従来型個室 | ユニット型準個室 | ユニット型個室 | 食費 |
所得区分1 | 0円 | 14,700円 | 14,700円 | 24,600円 | 9,000円 |
所得区分2 | 9,600円 | 14,700円 | 14,700円 | 24,600円 | 11,700円 |
所得区分3 | 9,600円 | 39,300円 | 39,300円 | 39,300円 | 19,500円 |
所得区分4 | 9,600円 | 49,200円 | 49,200円 | 59,100円 | 41,400円 |
上記下線部のみ特別養護老人との相違点になります。
<申し込み方法等>
老健の情報については、病院のMSW(退院支援担当者)、市町村の介護保険課、地域包括支援センター等で聞きましょう。
入所の申し込みは、施設に直接行って行います。入所までの流れとしては、施設の支援相談員が利用目的・心身の状況・家族の意向等の調査を行います。次に主治医に診断書を作成してもらい、施設での入所判定となります。面接や実態調査、診断書をもとに利用可能かどうかで決められます。
その他、ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
(担当:満田(ミツダ)03-5201-3645)
次回は介護療養型医療施設について解説します。
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