~前回~生活保護と高齢者向け住宅・施設について⑧(生保受給者の施設への入居の流れ・手順)
<生活保護と親族の援助>
生活保護利用の要否を決定するにあたり、扶養義務履行が優先されますので、扶養義務者で誰か援助できる人がいれば、その人に援助の可否を確認することになります。具体的には、扶養義務者に『扶養照会』という文書を出して行います。
<扶養照会>
福祉課から連絡が届く範囲は、申請者にとって3親等以内(親、兄弟姉妹、子供、配偶者)に対して照会が行われます。援助の確認は年に1度行われます。
福祉課は生活保護を申請すると、親や兄弟に福祉課からの連絡が届きますので、親族に内緒で申請したとしても、親族には知られてしまいます。申請者の周りに、生活を援助できる人がいるかどうかが重要になるからです。仮にいた場合、生活保護費は支給されなくなります。
福祉課は援助ができるかどうかの確認はおこないますが、強制することはできません。自分達の生活で精一杯の場合は、断りの返信をすればいいです。
<どうしても家族に知られたくない場合>
扶養能力調査では、扶養義務者が要保護者の生活歴等から特別な事情があり、明らかに扶養できない場合には、個別の慎重な検討を行い扶養の可能性が期待できない者として取り扱って差し支えないとされています。
例えば、夫の暴力で家を出て生活保護を申請する場合は、国の通知により夫への扶養照会は行わなくて良いことになっています。どうしても扶養照会をされたくない場合は、福祉事務所に理由を説明して個別の対応を検討してもらいましょう。
<親族が援助をして保護を受けることができるか>
よく有料老人ホームや高齢者住宅をお探しのご家族からのご相談で、保護費の範囲内ですと選択肢が狭いので、一時金であったり、月額をいくらかは援助してあげたいというご相談を受けます。しかし、生活保護は、最低保障という基本原則があるためそのようなことは認められません。
ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
~今までの生活保護と高齢者向け住宅・施設についての記事~
●①概要 ●②生活保護の内容 ●③生活保護の移管手続き等 ●④生活保護の目的と原理原則 ●⑤申請から保護まで ●⑥持ち家がある場合 ●⑦世帯単位の原則-世帯分離 |
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77歳の女性で現在、娘さんと同居しています。別居して生活保護申請を希望していますが、その敷金がありません。敷金、入居金なしで入居でき、生活保護申請のお手伝いをしてくれる施設をさがしています。介護保険は申請中です。世帯分離はする予定です。