~前回~生活保護と高齢者向け住宅・施設について③(生活保護の移管手続き等)
3回にわたり生活保護の解説をしましたが、ここで目的と原理原則の解説をしたいと思います。
【目的】
生活保護は、国民に対し、「最低限の生活を保障」することと、その「自立を助長」することを目的としています。
【4つの基本原理】
①国家責任による最低生活保障の原理(生活保護法一条)
憲法二五条で保障する「生存権」を生活保護法という法律で制度化しています。
②保護請求権無差別平等の原理(生活保護法二条)
要件を満たす限り、無差別平等に保護をうけることができるとされています。
③健康で文化的な最低生活保障の原則(生活保護法三条)
生活保護制は、単なる最低生活基準ではなく、『健康的で文化的な』最低生活基準と規定し、人として生きるにふさわしい生活を保証しています。
④保護の補足性の原理(生活保護法四条)
生活保護の適用前提として、①資産、能力等の活用、②扶養義務の優先、③他方他施策の優先を規定しています。
【4つの基本原則】
①申請保護の原則(生活保護法七条)
生活保護は、本人や扶養義務者、同居の親族の申請に基づいて開始されるのが原則です。
申請者がいない場合等の急迫した状況では、福祉事務所は必要な保護を行うことができるとされています。
②基準及び程度の原則(生活保護法八条)
最低限度の生活需要を満たし、なおかつ超えないものとされています。
③必要即応の原則(生活保護法九条)
個人や世帯の必要の相違を考慮して、有効かつ適切に行うものとされています。
④世帯単位の原則(生活保護法十条)
生活保護は、世帯単位で保護の必要性や程度を決めることになっています。
世帯単位ですので、例えば同居していて収入の少ないご両親が、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームに入居したいという状況でも、両親のみで生活保護を申請することはできません。あくまで世帯単位となります。
しかし、福祉事務所が必要と認めるときは、個人を単位とする世帯分離という方法があります。
ご不明点等ありましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせ下さい。
次回は生活保護と高齢者向け住宅・施設について⑤(申請から保護まで)です。
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