~前回~生活保護と高齢者向け住宅・施設について①(概要)
前回は、被保護者、被保護世帯数の増加推移や、高齢者世帯になぜ生活保護受給者が多いのかについて解説しました。
本日は生活保護の内容について解説します。
生活保護には、①生活、②住宅、③教育、④医療、⑤介護、⑥出産、⑦生業、⑧葬祭の八扶助があります。
このうち①~⑤までは月単位で継続して支給され、⑥~⑧は必要に応じて支給されます。
④医療扶助と⑤介護扶助以外のものは金銭給付が原則です。
③医療扶助と④介護扶助は、本人が医療や介護のサービスを受け、福祉事務所がその費用を医療機関や介護サービス事業者に直接払う現物給付の形をとるのが原則です。
①【生活扶助】☆重要
生活に必要な衣食や光熱水費に対する給付です。アパートなどで生活する場合、第一類と第二類で構成されます。
第一類は個人に関わる費用で、第二類は世帯全体に関わる費用です。
施設で生活する場合にも、必要な金額が支給されます。
また、一ヶ月以上入院する場合は入院患者日用品費が、介護施設に入所する人には介護施設入所基本生活費が支給されます。
②【住宅扶助】☆重要
賃貸住宅や借地の場合、家賃・地代が支給されます。
住宅扶助は実費とされていますが、限度額が設けられています。都道府県ごとに住宅事情などを考慮して、厚生労働大臣が決めます。
また、世帯数や障害の有無などの生活実態を考慮した上で、通常限度の1.3倍の金額とすることも福祉事務所の判断で可能です。
なお、共益費は生活扶助の中から支払うことになっています。
③【教育扶助】
義務教育のための費用です。
④【医療扶助】
病院などにかかる医療費です。通院等の交通費も支給されます。
⑤【介護扶助】
介護保険サービスの自己負担分の1割が支給されます。
⑥【出産扶助】
出産のために必要な費用です。
⑦【生業扶助】
生業費用、技能習得費、転職支援費です。
⑧【葬祭扶助】
死亡診断料、運搬料、火葬料などです。
葬祭扶助は、死亡した人にではなく、葬祭を行う人に支給されるものです。
●【一時扶助】
①生活扶助や②住宅扶助という区分の中には、毎月決まって支給される一般生活費のほかに、必要に応じて支給されるものがあり、一時扶助と呼ばれています。
一時扶助を利用するには、個々の需要に対して申請が必要です。
<主な一時扶助の例>
・敷金等(限度あり) ・契約更新料 ・住宅維持費(転居時の移送代) ・医療移送費 ・生活移送費 ・家具什器費 ・紙おむつ等 |
●【サービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームに入居したい場合の留意点】
ここで、生活保護を受給している高齢者世帯がサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)や有料老人ホームに移りたいと考えた際、留意すべきは①生活扶助と②住宅扶助になります。
東京23区ですと、単身で①住宅扶助が①5万4千円弱、②生活扶助が7万6千円弱、合計13万弱です。
また、ご夫婦の場合は、①7万円弱、②生活扶助が11万3千円弱、合計で18万3千円弱です。
ですので、その範囲内で生活できるサービス付き高齢者向け住宅や有料老人ホームを探す必要があります。
運営会社によっては、生活保護受給者向けに割り引きでご入居いただけるような制度をとっているところもあります。
まずは、担当のケースワーカーに相談することが先決です。
また、私どもにご相談頂ければ、どういったところが入居可能か情報を提供することが可能です。
ご不明点等ございましたら、お気軽に高齢者住宅仲介センター日本橋店にお問い合わせください。
次回は生活保護と高齢者向け住宅・施設について③(生活保護の移管手続き等)です。
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