~前回~年金のお話(2)保険給付の種類①国民年金
今回もサ高住から少し離れて年金のお話です。
年金と聞いて通常思い浮かぶものといえば、一定の年齢に達したときから支給される「老齢年金」ですが、それ以外のときにも給付を受けられる場合があります。
今回は年金のお話(2)①に引き続き、各年金からどのような支給を受けられるのかについて、項目を列挙しつつ簡単に説明します。
前回は国民年金(1階部分の年金)について書いたので、今回は厚生年金(2階部分の年金)です。
説明内容については、わかりやすさ重視でかなりの部分を省略していることをご了承ください。
<厚生年金の給付>
サラリーマン等が受給できる2階部分の年金給付には以下のものがあります。
1.老齢厚生年金
これもいわゆる「年金」です。
原則として年金保険料を25年以上納付した被保険者に対し、60歳から支給されます。
ただし上記はあくまで原則であり、支給開始年齢は段階的に65歳まで引き上げられています。また、保険料納付要件についても生年月日によって異なります。その他、細かい要件がありますが、今回は説明を省略します。
2.障害厚生年金
障害基礎年金と同様に、年金加入中に発生した病気やケガのため、日常生活に支障が出るようになり、また十分に働けない状態となることにより本人の所得がなくなったり減少することが考えられます。このような所得の減少に対する保障とその家族の生活安定をはかるために支給される年金です。
(1)初診日において被保険者であり、(2)障害認定日において障害等級1級、2級、または3級の状態で、(3)保険料について初診日の前々月までの1年間に滞納がない、という要件を満たした場合に、支給を受けることができます。
(実際の要件はもう少し細かいですが、ここでは省略します)
下線を引いたところは障害基礎年金と異なる部分です。
3.障害手当金
障害の程度が障害厚生年金の対象となる障害よりも軽い障害であって、その障害が治ったときに支給される一時金です。
(1)初診日において被保険者であり、(2)初診日から5年を経過するまでに傷病が治ったが、一定の障害が残っている状態で、(3)障害厚生年金と同様の保険料納付要件(2.の要件(3))を満たしている場合に、支給を受けることができます。
4.遺族厚生年金
老齢厚生年金の被保険者または受給権者が亡くなった場合に、遺族の方に支給される年金です。
遺族基礎年金が支給されるのは、原則的には高校生以下(障害がある子は20歳未満)の子供がいる場合のみですが、遺族厚生年金にはそのような限定はありません。
支給対象になりえる遺族は、(1)妻、(2)55歳以上の夫、父母、祖父母、(3)①18歳の3月31日に達する前、または②20歳未満であって障害等級1級または2級の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていない子・孫です。共通の要件として、「死亡当時にその者によって生計を維持していたこと」が挙げられます。
また、遺族厚生年金は支給されるが遺族基礎年金が支給されないという遺族でも、「中高齢寡婦加算」が支給される場合があります。また、昭和31年4月1日以前に生まれた65歳以上の妻の場合、「経過的寡婦加算」というものもあります。
かなり大雑把な説明ですが、今回は年金給付を列挙していく趣旨なので、詳細な説明は省略します。
5.その他の給付
・脱退一時金
国民年金の脱退一時金とほぼ同様で、短期在留外国人が帰国した場合に支給される一時金です。
厚生年金の給付は以上です。
国民年金も厚生年金も細かな違いはありますが、「老齢、障害または死亡」に関して行われる給付であることで共通しています。ただその制度の詳細は度重なる公的年金制度改革により複雑化していますので、今後はその点についてもわかりやすく説明していきたいと思います。
次回は年金のお話(3)厚生年金保険の適用事業所と被保険者です。
~過去の年金のお話~ ●(1)年金の仕組み ●(2)保険給付の種類①国民年金 |
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