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前回⇒年金のお話(8)老齢年金の受給資格を得るには(受給資格期間)
今回も高齢者住宅から少し離れて年金のお話です。
多くの人にとって、年金のお話で関心が高いのは、
・いつからもらえるのか?
・いくらもらえるのか?
・本当にちゃんともらえるのか?
ということではないかと思います。
このうち「いつから~」は年金のお話(6)年金はいつからもらえるのか”で簡単に解説しました。
「本当に~」は触れるかどうか現時点では不明です。
というわけで今回は真ん中の「いくらもらえるのか」についてです。
一度に全てを書くと長くなりそうなので、ここでは公的年金の1階部分である国民年金の、老齢により支給される年金、すなわち老齢基礎年金の受給額を解説します。
<老齢基礎年金の年金額>
1.保険料納付済期間の月数が12ヶ月×40年=480ヶ月である場合の年金額
国民年金の被保険者期間は原則として20歳以上60歳未満なので、480ヶ月納付が満額の場合となります。
この場合の年金額は国民年金法で以下のように定められています。
条文ではこのような記載となっています。
ここで改定率とは、物価や賃金水準の変動を年金額に反映させ、その実質的価値を維持するために乗じる率をいいます。詳細についてはまた別途解説いたします。また、これに加えて「物価スライド特例措置」といった計算も加わるのですが、長くなるので省略します。
2012年度の老齢基礎年金の満額は以下となります。
月額は786,500円÷12≒65,541円ということになりますね。
これが公的年金の1階部分の満額です。
ところで、実際のところ国民年金を満額もらうには現在は2013年(平成25年)なので、保険料を最低でも1973年(昭和48年)から払い続けていなければいけないということになりますが、現行の年金制度が施行されたのは1986年(昭和61年)4月からなので、実際のところ未加入のため保険納付済期間が40年に満たない人も多いのではないでしょうか。
その場合の計算は次のようになります。
2.保険料納付済期間の月数が480ヶ月に満たない場合の年金額
老齢基礎年金の受給を得るための期間は25年(=300ヶ月)であり、受給資格期間には保険料納付済期間以外も含まれるので、保険料納付済期間が480ヶ月に満たない場合もあり得ます(詳細は年金のお話(8)老齢年金の受給資格を得るには(受給資格期間)をご参照ください)。
この場合の年金額の計算式です。
保険料免除については年金のお話(5)国民年金の保険料の免除をご参照ください。
条文上は右の分数部分は約分されていますが、分母をそろえたほうが見やすいのでそのままにしました。
このように、保険料免除を受けている場合、保険料支払相当分だけ年金がもらえることになります。ただし、保険料のうち半分は国庫負担なので、比率は上記のようになります。たとえば4分の3免除を受けている場合、貰える年金の比率は(1/2+(1-3/4)÷2=5/8)です。
保険料免除期間も含めて通算した結果480ヶ月を超える場合の計算もあるのですが、ややこしくなるのでここでは省略します。
支給の繰上げや支給の繰下げを受ける場合、ここからさらに変動することになります。
3.計算例
事例で確認してみましょう。
●1948年6月生まれの任意加入未加入で保険料を原則通りだけ支払った人の場合。
保険料納付済期間:1986年4月~2008年5月=22年2ヶ月=266ヶ月
(※国民年金の保険料を支払うのは60に達するまで)
保険料免除期間 :なし
合算対象期間 :1968年6月~1986年3月=17年10か月=214ヶ月
(※合算対象期間については年金のお話(8)老齢年金の受給資格を得るには(受給資格期間)をご参照ください。
この場合、1986年4月1日前の任意加入しなかった期間に該当します。
受給資格期間22年2ヶ月+17年10か月=40年→資格あり
2012年度の受給額=786,500円×266÷480≒435,852円(月額36,321円)
以上となります。
ちょっとこれだけで生活していくのは厳しい金額になってしまいましたが、かなり条件をしぼっていますので、実際は2階部分の年金や配偶者の方の年金や振替加算等でもう少し受給額は増えるのではないかと思います。
ここで計算したのはあくまで、1階部分の「老齢基礎年金」のみの計算です。
次回は年金のお話(9)年金はいくらもらえるのか②老齢厚生年金”です。
過去記事はこちら→年金のお話(まとめ)
27年生まれで4月で64歳になります。一部分は64歳からもらえるのですか?その部分の支給額はずっと変わらないですか?