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今回は年金のお話です。
前回の年金のお話はこちら⇒年金のお話(11)働きながら年金をもらう人に関する制度②高齢者雇用継続給付
国民年金や厚生年金に定められた年金が支給される事由としては、①一定の年齢に達した場合、②被保険者等が障害を負った場合、②被保険者等が亡くなった場合、の3つが挙げられます。
今回は2番目の障害を事由とする年金について、どのようなものがあるのかを簡単にご紹介します。
●用語説明
・初診日
障害の原因となった疾病・負傷について初めて医師・歯科医師の診療を受けた日
・障害認定日
初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日、または、その期間内に傷病が治癒した日(症状が固定化し、それ以上の治療の効果が期待できなくなった日)
・障害等級
詳細は厚生労働省HPの障害等級表をご参照ください。傷病等級とは異なります。
<障害を事由とする年金>
1.国民年金
(1)障害基礎年金
初診日において国民年金の被保険者、または被保険者だった65歳未満の国内居住者で、障害認定日において障害等級1級または2級の障害の状態にある人に支給される年金です。
●保険料納付要件
支給対象となる被保険者には一定期間保険料を納付していることが要求されますが、これは遺族年金の保険料納付要件と同様です。
具体的には下記のいずれかを満たしていることが必要となります。
・初診日の前日において、初診日の前々月までの被保険者期間のうち、保険料の滞納が3分の1以下である。
・初診日の前日において、初診日の前々月までの1年間に保険料を滞納していない。
●支給額
年度によって異なりますが、障害等級2級の場合、年間約78万円が支給されます。1級の場合はこの金額×1.25となります。
また、受給権者に子がある場合はさらに加算されます。
(2)20歳前障害による障害基礎年金
初診日において20歳未満である傷病については、以下のいずれかのときに障害等級1級または2級に該当する場合、障害基礎年金が支給されます。
・20歳に達したとき
・20歳に達した後に障害認定日があるときは、その障害認定日
この場合、上述の保険料納付要件は問われません。
また、20歳未満の初診日において厚生年金の被保険者である場合、国民年金では第2号被保険者に分類されるので、(1)の「国民年金の被保険者」である場合に該当し、(1)の障害基礎年金が支給されます。
2.厚生年金
(1)障害厚生年金
初診日において厚生年金の被保険者であり、障害認定日において障害等級1級、2級または3級の障害の状態にある人に支給される年金です。
●保険料納付要件
障害厚生年金の場合も障害基礎年金と同様の保険料納付要件が求められます。
この場合、厚生年金保険の被保険者期間のみでなく、国民年金の被保険者期間全体で判定されます。
また、初診日において65歳以上である場合、
・初診日の前日において、初診日の前々月までの1年間に保険料を滞納していない。
という要件は適用されず、上の要件のみで判定されることになります。
●支給額
障害等級2級または3級の場合、以下の数式で算定されます。1級の場合はこの金額×1.25となります。
平均標準報酬額 × 0.5481% × 被保険者期間の月数(300ヶ月に満たない場合は300とする)
障害基礎年金を受けられない場合は最低保証額が適用されます。最低保証額は 2級の障害基礎年金の額×3/4 です。
障害等級1級または2級の場合、配偶者加給年金額が加算されます。子に係る加給年金額はありません。
(2)障害手当金
障害手当金は、障害の程度が障害厚生年金の対象となるものより軽い場合に、その障害が治ったときに支給される一時金です。
・初診日において被保険者である
・初診日から5年を経過する日までに傷病が治り、その治った日において一定の障害状態にある
・保険料納付要件を満たしている
ことが要件となります。
受給額は上述の数式による 報酬比例の額×2 です。
最低保証額は2級の障害基礎年金の額×3/4×2 で、これは現状では約115万円となります。
障害を事由とする給付の概要は以上となります。
次回の年金記事は年金のお話(12)障害を負ったときの年金②特例的な支給要件です。
過去の年金記事のまとめはこちら→年金のお話(まとめ)
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