今日は年金のお話です。前回の年金はこちら⇒年金のお話(11)働きながら年金をもらう人に関する制度①(在職老齢年金)
前回は働きながら年金をもらう場合、報酬+年金の月額が一定額を超えると年金が減額される制度(在職老齢年金)について解説しました。
今回は年金から少し離れて、雇用保険の「高年齢雇用継続給付」についてです。
高年齢雇用継続給付は高齢者の働く意欲、能力に応え、65歳に達するまでの雇用を援助、促進するため、賃金が60歳時点に比し、相当低下した状態で働き続ける高齢者に対し、支給される給付です。
高年齢雇用継続給付には、基本手当(いわゆる失業手当)を受給せずに雇用を継続する人に対して支給する高年齢雇用継続基本給付金と、一度失業して失業手当を受給した後再就職した人に対して支給するの2つの給付があります。
なお、数値等は2013年8月時点のものです。
<給付の内容>
1.高年齢雇用継続基本給付金
(1)支給要件
・季節的労働者、日雇労働者以外の雇用保険被保険者であること
・60歳に達した日を離職日とみなして算定した算定基礎期間(※1)に相当する期間が5年以上であること。
・60歳以降の賃金が60歳時点の賃金の75%未満であること、かつ、賃金が343,396円未満であること。
(※1)算定基礎期間:雇用保険の被保険者だった期間ですが、1年を超えた離職期間がある場合は、それ以前の期間は通算されません。
(2)支給対象月
60歳~65歳に達するまでの期間内にある各月で、(1)の要件を満たした場合
(3)支給額
・支給対象月の賃金が60歳時点の61%未満
支給対象月の賃金×15%
・支給対象月の賃金が60歳時点の61%以上75%未満
支給対象月の賃金×15%未満の一定率(賃金の低下率に応じて定められる)
(4)支給手続
原則は被保険者の方が行いますが、労使協定により事業主が代理する旨を定めている場合は、事業主の方が行います。
2.高年齢者再就職給付金
(1)支給要件
・季節的労働者、日雇労働者以外の雇用保険被保険者であること
・離職の日における算定基礎期間が5年以上であり、失業手当を受けたことがあること
・就職日の前日における失業手当の支給残日数が100日以上であること
・60歳以後、安定した職業に再就職し、この就職について再就職手当の支給をうけていないこと
(2)支給対象月
・失業手当の支給残日数が200日以上
就職日の属する月から2年(65歳未満の間のみ)の間の各月
・失業手当の支給残日数が100日以上200日未満
就職日の属する月から1年(65歳未満の間のみ)の間の各月
(3)支給額
1.高年齢雇用継続基本給付金とほぼ同じです。1.の「60歳時点の賃金」は、「離職した時点の賃金」となります。
(4)支給手続
1.高年齢雇用継続基本給付金とほぼ同じです。
手続については省略してしまいましたが、事業主の方が手続きを行ってくれない場合は、被保険者の方が自ら事業所の所在地を管轄する職安に趣、申請書を提出することが必要となります。
詳細はハローワークのHP等をご参照ください。
<高年齢雇用継続給付と特別支給の老齢厚生年金の調整>
特別支給の老齢厚生年金とは、60歳~64歳の間に受給できる老齢厚生年金です。繰上げ支給の老齢厚生年金についても、65歳前に支給される者は適用の対象となります。
老齢厚生年金の受給権者が高年齢雇用継続給付を受ける場合、老齢厚生年金の一部が支給停止されます。
1.調整額
その月の分の老齢厚生年金について、以下の①~③の場合に応じ、老齢厚生年金の額が調整されることとなります。
①標準報酬月額が、60歳時点の賃金の61%未満
標準報酬月額×6%
② ①に該当しないとき
標準報酬月額×6%未満の一定率
③ ①または②の額×6分の15+標準報酬月額>343,396円 であるとき
(343,396円-標準報酬月額)×15分の6
だいたい高年齢者雇用継続給付の4割が支給停止されることとなります。
次回の年金記事は年金のお話(12)障害を負ったときの年金①概要です。
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年金のお話(11)働きながら年金をもらう人に関する制度②高年齢雇用継続給付
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27年生まれで4月で64歳になります。一部分は64歳からもらえるのですか?その部分の支給額はずっと変わらないですか?