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このカテゴリーでは高齢者の方に関連する医療制度に関して記載しています。
今回は健康保険の「日雇特例被保険者」についてです。
<健康保険の日雇特例被保険者>
1.日雇特例被保険者とは
健康保険の適用事業所に使用される日雇労働者の方は、日雇特例被保険者に該当します。一般の被保険者について適用除外される人でも、この日雇特例被保険者に該当する場合があります。
日雇労働者に該当するのは次のような人です。
日雇特例被保険者の保険の保険者は全国健康保険協会とされます。
参考⇒高齢者医療制度について(12)協会けんぽと組合健保の違い
なので、健康保険組合のある事業所で使用される場合であっても、健康保険組合の組合員となることはできません。
2.適用除外
上の条件に該当する場合でも、以下の人は日雇労働被保険者にはなりません。(1)の場合、承認申請をするか否かは日雇労働者側の意思によります。
3.被扶養者
一般の被保険者の被扶養者と同じ範囲になります。詳細はこちらをご参照ください。⇒高齢者医療制度について(9)健康保険の被扶養者の範囲
4.保険料
(1)保険料額日雇特例被保険者の保険料額は以下の数式で計算されます。
標準賃金日額は、賃金日額を等級にあてはめたものです。第1級(3,000円)~第11級(24,750円)の11等級に区分されます。
賃金日額は使用された日ごとの賃金額です。2日以上の期間で決まる場合は、その平均で計算されます。
この辺りの扱いは標準報酬月額と同じです。参考⇒高齢者医療制度について(15)保険料の計算
平均保険料率とは、各都道府県の保険料率に各都道府県の支部被保険者の総報酬額の総額をかけて、全国の被保険者の総報酬額の総額で除算して算出した率です。
介護保険の第2号被保険者の場合、これにさらに介護保険料がかかります。
(2)納付方法
保険料の納付は「日雇特例被保険者手帳」に健康保険印紙をはり、これに消印することによって行われます。
「日雇特例被保険者手帳」とは印紙の貼付台帳で、日雇特例被保険者に対し交付されます。
日雇特例被保険者が保険給付を受ける場合は、この健康保険印紙が所定の枚数だけ貼付されていることが必要となります。
5.保険料納付要件
具体的な納付要件は次のようになります。2.適用除外で「引き続く2か月間に26日以上使用される見込みがない人」があげられていましたが、これはつまりそのような人はそもそも保険給付の対象とはならないからです。
6.保険給付の内容
「特別療養費」以外は一般の被保険者と基本的には同じです。一般の被保険者と異なる所をあげると、以下のようになります。
(1)療養の給付
仕組みは同じですが、支給期間は1年(結核性疾病の場合は5年)となります。
(2)傷病手当金
参考⇒高齢者医療制度について(10)健康保険の傷病手当金
日雇特例被保険者の場合、自費診療、自宅療養などの場合は傷病手当金は支給されません。
また、待期の期間は「連続」3日間となります。一般の被保険者よりは要件がやや限定されています。
(3)出産に関する給付
一般の被保険者と同様、出産育児一時金が支給されます。
また、出産の日以前42日(多胎妊娠の場合は98日)から出産の日後56日までの間において、出産の日の前月までの4ヵ月のうち、もっとも標準賃金日額の合算額が多かった月の合算額の45分の1が支給されます。
(4)死亡に関する給付
5万円が支給されます。
(5)特別療養費
一般の被保険者と異なるのがこの特別療養費です。
日雇特例被保険者の場合、保険料の納付要件を満たすためには2ヶ月経過している必要があるため、最初の2か月間は無保険状態となってしまいます。これを回避するための制度が特別療養費の制度です。
この制度により、初めて手帳の交付を受けた日から2か月以降の直近月末日までは、被保険者受給資格が特別に与えられます。
健康保険の日雇特例被保険者については以上となります。