前回の雇用関係の記事はこちら⇒⇒高齢者と雇用(7)高年齢再就職給付金
厚生年金の支給開始年齢の段階的引き上げにより60歳以上無年金時代に入ったことなどもあり、「雇用」は関心の高いテーマになっているかと思います。
今回は雇用保険の給付の中から「教育訓練給付金」について解説します。
<教育訓練給付金>
1.教育訓練給付金とは
教育訓練給付金とは、労働者や離職者が、自ら費用を負担して、厚生労働大臣が指定する教育訓練講座を受講し修了した場合、本人がその教育訓練施設に支払った経費の一部を支給する雇用保険の給付制度です。
給付を受ける対象となるのは雇用保険の一般被保険者または一般被保険者だった人となります。雇用保険の被保険者についてはこちら⇒高齢者と雇用(2)雇用保険の被保険者の種類
2.支給要件
教育訓練給付金は、以下の要件を満たした人に支給されます。
(1)支給対象者
・教育訓練を開始した日(基準日)に一般被保険者である人
・基準日に一般被保険者でない場合、一般被保険者でなくなった日(離職した日)から1年以内に基準日がある人
(2)支給要件期間の要件
基準日において、支給要件期間が3年以上。
なお、今までに教育訓練給付金を受けたことのない人は、「1年以上」となります。
支給要件期間については3.で解説します。
(3)修了要件
教育訓練を修了している。受講中に教育訓練給付金をもらうことはできません。
3.支給要件期間
支給要件期間とは、支給対象者が基準日以前の間に雇用されていた期間です。
ただし次の期間は通算されません。
①離職してから再就職しないまま1年以上経過している場合の、離職前に被保険者だった期間
②以前に教育訓練給付を受けたことがある場合、その給付に係る被保険者だった期間
③被保険者となったことの確認があった日の2年以上前の期間。
なお被保険者となったことの確認は、通常は事業主の届出で行われます。
4.対象となる講座
教育訓練給付の対象となる講座は、厚生労働大臣の指定を受けていることが必要です。
指定講座は、お近くのハローワークで一覧表が閲覧できるほか、教育訓練講座検索システムでもご覧になれます。
5.支給額
教育訓練給付金の支給額は次の計算式となります。
教育訓練のために支払った費用とは、入学料及び受講料です。なお、教育訓練の期間が1年を超える場合は、当該1年を超える部分の受講料は除かれます。
また、支給額の上限は10万円とされます。4000円を超えない場合は支給されません。
6.申請手続
教育訓練を修了した日の翌日から1ヶ月以内にハローワークへ申請書を提出することにより、支給を受けることができます。
申請書の提出の際には
・教育訓練を修了したことを証明する書類
・受講費を証明する書類
・被保険者証等
といった添付書類が必要となります。
詳細はこのページなどが参考となります。