前回の雇用関連の記事⇒高齢者と雇用(4)失業手当の支給日数
厚生年金の支給開始年齢の引き上げなどもあり、「雇用」は関心の高いテーマとなっていると思います。
今回は雇用のセーフティネットとして代表的な雇用保険の給付の中で、高齢者を対象とした給付である「高年齢求職者給付金」について解説します。
<高年齢求職者給付金>
1.概要
「高年齢求職者給付金」とは、65歳以上の高年齢者(高年齢継続被保険者)が失業した場合の求職者給付として支払われる一時金です。基本手当(いわゆる失業手当)と異なり、失業している日数に対応して支給されるものではなく、失業の状態にあれば支給されます。
2.高年齢継続被保険者とは
1.概要では「65歳以上の高年齢者」と記載しましたが、より正確な定義は異なります。
高年齢継続被保険者とは、同一の事業主の雇用保険適用事業に、65歳に達する前から雇用され、65歳に達した日以後も引き続き雇用されている人をいいます。なので、65歳になった日以後に再就職した人などは、高年齢継続被保険者には該当しません。
3.受給要件
高年齢求職者給付金を受給するためには、高年齢継続被保険者に該当し、「原則として離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6ヶ月以上」という用件を満たすことが必要となります。
つまり、仕事を辞める前の1年間に6ヶ月以上働いていることが必要だということです。
4.失業の認定・受給期限
失業の認定は、離職の日の翌日から起算して1年以内に、職安で求職の申し込みを行ったうえで、受ける必要があります。
5.支給額
一時金の支給額は 基本手当の日額×給付日数 となります。
基本手当の日額については前々回(失業手当の日額の計算方法)をご参照ください。
給付日数は次のようになります。
算定基礎期間⇒ ↓年齢 | 1年未満 | 1年以上 |
65歳以上 | 30日 | 50日 |
なお、失業の認定を遅らせてしまい受給期限までの日数が給付日数に満たないときは、失業の認定日から受給期限までの日数が給付日数となります。
たとえば去年の大みそかに仕事を辞めたのに失業の認定を今年のクリスマスまで忘れていた場合、本来50日分の給付金を貰えるところを、7日分しか貰えないということになります。
6.待期、給付制限
高年齢求職者給付金は離職してすぐに職安にかけこめばただちにもらえるのかというと、そうではなく、一定の支給停止期間が設けられています。
なお、この辺りの取り扱いについては、基本手当の場合と同様です。
(1)待期期間
高年齢求職者給付金は職安で求職の申し込みをした後、失業している日が7日に満たない場合は支給されません。この7日間を待期の期間といいます。
なお、待期というのは誤字ではなく法律上こういう名称になっているようです。
(2)離職理由による支給制限
・被保険者が自己の責めに帰すべき重大な理由によって解雇された場合
・正当な理由がなく、自己の都合により退職した場合
この場合は、待期期間満了後、さらに1ヶ月以上3か月以内の期間について支給が制限されます。