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高齢者医療制度について(6)高額療養費制度①概要

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前回⇒高齢者医療制度について(5)高額介護合算療養費制度

先に後期高齢者医療制度で導入された制度(高額介護合算療養費制度)の解説から始めたので、ちょっと順番が前後してしまいましたが、今回は高額療養費制度について解説します。
高額療養費については詳細に書くと長くなるので、今回は概要のみまとめ、詳細は後日に書くことにいたします。

<高額療養費制度>
1.高額療養費制度とは
高額療養費制度とは、ある月に病院等にかかった際の自己負担額が一定額を超える場合に、保険者(健保組合等)から超過分を支給してもらう制度です。この支給額を「高額療養費」といいます。
本来医療費は高額なものですが健康保険等に入っていれば原則3割負担、70歳以上であれば原則2割負担となります。この2割~3割負担部分が上述の「自己負担額」です。しかし2~3割負担にしてもなお医療費が高額になることもあります。そのようなときのための制度がこの高額療養費制度です。

2.高額療養費の対象
高額療養費の対象となるのは保険の対象となるものです。
たとえば部屋代等の特別料金、保険対象外となる先進医療の先進技術部分などはこの制度の対象とはなりません。
また、保険給付であっても定額制である「入院時食事療養費」「入院時生活療養費」などはこの制度の対象とはなりません。

3.算出区分
自己負担限度額の計算方法は年齢ごとに異なります。
具体的には①70歳未満、②70歳以上75歳未満、③75歳以上に分けられます。
また、年齢区分とは別に④長期高額特定疾病の患者についても自己負担限度額が設定されています。

①70歳未満
被保険者、被扶養者にかかった医療費を世帯合算し、世帯合算額が自己負担限度額を超える場合に、その超過額が高額医療費として支給されます。
なお合算できるものは21,000円以上のものに限られます。
また、合算の実施単位は同じ医療機関ごとであり、同じ医療機関でも歯科とその他の診療科は区別されます。また、入院と外来も区別されます。

ややこしいので具体例で確認してみましょう。

【事例】被保険者Mさんとその被扶養者Nさんが、A病院とB病院において以下のような診療を受けた場合。

患者病院診療科形態自己負担額合算
被保険者MA病院医科入院30,000円
外来1,200円-
歯科外来20,100円-
B病院内科外来60,000円
被扶養者NA病院歯科外来24,000円
B病院内科外来2,100円-

右の「合算」欄に○がついているのが、合算対象となる自己負担額です。

この例の場合30,000円+60,000円+24,000円=114,000円が世帯合算額となります。

この世帯合算額が自己負担限度額(高額療養費算定基準額)を超える場合に高額療養費が支給されることになりますが、その計算は今回は省略します。

②70歳以上75歳未満
70歳以上の場合は、まず個人単位で外来医療に係る限度額を適用します。
次に個人単位の限度額を適用した残額および入院に係る自己負担額を世帯単位で合算し、限度額を適用します。

これも具体例で見てみましょう。
【事例】先月70歳の誕生日を迎えたKさんがA病院にかかった際の自己負担額が、外来40,000円、入院20,000円の場合。

(i)自己負担限度額
70歳以上の自己負担限度額も所得によって異なります。また、入院か外来かでも異なります。
ここではその辺りの説明を省略して、Kさんの自己負担限度額は次のようになるものとします。

外来 :24,600円
入院等:62,100円

(ii)外来療養に係る高額療養費
Kさんの外来療養は40,000円、それに係る自己負担限度額は24,600円なので、高額療養費は40,000円-24,600円=15,600円となります。

(iii)入院療養等に係る高額療養費
Kさんの入院療養は20,000円です。70歳未満の場合21,000円未満の金額は合算対象とはなりませんが、70歳以上の場合はそのようなルールはありませんので、これも合算対象となります。
また、(ii)の際に高額療養費の対象とならない残額が24,600円残っていますので、これも合算し、20,000円+24,600円=44,600円がここでの自己負担額となります。

44,600円<62,100円なので、この場合は高額療養費の支給はありません。

(iv)全体の支給額
15,600円+0円=15,600円がこの事例における高額療養費の支給額となります。


③75歳以上
75歳以上の場合は、70歳以上75歳未満の場合とほぼ同様です。
ただし、75歳未満は健康保険からの支給であるのに対し、75歳以上は後期高齢者医療制度からの支給である点で異なります。
制度が異なるので、世帯内合算をする場合に、75歳以上と75歳未満では合算できません。75歳以上同士であれば合算することができます。

④長期高額特定疾病
・人工透析
・血友病
・抗ウイルス剤を投与しているHIV感染者

以上の疾患に係る療養を受ける人の自己負担限度額は1万円です。ただし人工透析を要する70歳未満の上位所得者の自己負担限度額は2万円となります。
血友病、HIV感染者については、自己負担限度額が公費負担となるので、実際には患者の窓口負担はありません。

4.高額介護合算療養費
前回の医療保険記事で簡単に解説しましたが、高額療養費制度の適用を受けてもなお健康保険等の自己負担額と介護保険の利用者負担額の合計額が高額である場合は、一定の自己負担限度額を超える金額が「高額介護合算療養費」として支給されます。
この場合の自己負担額は、月額で判定される高額療養費とは異なり、前年の8月1日から当年の7月31日までの1年間の合算額で判定されます

5.高額療養費の現物給付化
ここまでは高額療養費が「支給される」と書いてきましたが、70歳未満の被保険者または70歳以上の低所得者の場合は、予め保険者に高額療養費限度額適用認定証の申請を行い、これを病院に提示することで、後ほど還付される高額療養費を見越した自己負担限度額のみの支払いで済ませることが可能です。これを「高額療養費の現物給付化」といいます。
なお、70歳以上75歳未満の人は高齢受給者証、75歳以上の者は後期高齢者医療保険者証を窓口で提示することで、自動的に高額療養費の現物給付が行われます。


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