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今回は高齢者医療制度についての解説の3回目です。基本的には高齢労働省の高齢者医療制度のページを参考にしています。
第3回目の今回は「後期高齢者医療制度の費用負担」の割合を実際の数字で確認してみることにいたします。
1.制度の概要
後期高齢者医療制度の費用負担の概要は大まかに言って次の2つです。
(1)高齢化に伴う医療費の増大が見込まれる中で、高齢者と若年世代の負担の明確化等を図る観点から、75歳以上の高齢者等を対象とした医療制度を独立させる。
(2)65歳~74歳の高齢者が多いか少ないかによって保険者(健康保険組合等)間の負担の不均衡が生じている。これを調整するための仕組みを導入する。
では具体的にはどのような調整がされているのでしょうか。
以下で確認してみましょう。
2.後期高齢者医療制度の仕組み
平成25年度の数字は以下のようになります。
75歳以上の数 | 約1,500万人 |
後期高齢者医療費 | 15.0兆円(平成25年度予算案ベース) ・給付費13.8兆円 ・患者負担 1.2兆円 |
保険料額 | 全国平均 約5,560円/月(平成24年・25年度見込) |
このうち、患者負担分を除いた医療費について、公費5割、現役世代からの負担4割、残り1割を保険料でまかなうことになります。
費用内訳 | ||
患者負担(窓口で支払う一部負担金) 1.2兆円 |
公費(5割) 約6.6兆円 | |
高齢者の保健料(1割) 約1.0兆円 |
現役世代からの支援金(4割) 約5.8兆円 |
上の公費の場合の内訳は、国:都道府県:市町村=4.4兆円:1.1兆円:1.1兆円 となるということですね。
3.前期高齢者に係る財政調整の仕組み
平成25年度の数字は以下のようになります。
65~74歳の高齢者 | 約1,500万人 |
前期高齢者給付費 | 6.1兆円(平成25年度予算案ベース) |
前期高齢者給付費は6.1兆円です。
これを調整しない場合、保険者ごとの負担割合は次のようになります。
【調整前】 | ||
市町村国保等 | 5.1兆円 | 83% |
協会けんぽ | 0.7兆円 | 17% |
健保組合 | 0.3兆円 | |
共済 | 0.1兆円 |
この内訳を、75歳未満の加入者数に応じて調整することにより、次のような負担割合になります。
【調整後】 | ||
市町村国保等 | 2.3兆円(3,800万人) | 37% |
協会けんぽ | 1.9兆円(3,400万人) | 63% |
健保組合 | 1.5兆円(2,900万人) | |
共済 | 0.5兆円(900万人) |
今回はここまでといたします。
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